ダミアーニは1924年、エンリコ・グラッシ・ダミアーニによって創業。グィド、シルヴィア、ジョルジョはその孫たちだ。特にデザインの才能に秀でたジョルジョはアーティスティックディレクターのような立場を担い、祖父が作ったジュエリーを自ら再解釈してブランドのヘリテージを現代に伝える役割も果たしている。外部から引き入れた人物をデザイナーに据えるのとはわけが違う、とファヴィエは話す。
「ユニコーン企業とは突然変異で発生するのではなく、育てていくものです。ダミアーニ・ファミリーは種を蒔き、大切に育てて花を咲かせ、また種を収穫してよりよい花を咲かせる……といった庭師のような仕事をしているともいえるでしょう。そして、花の育成に欠かせないのが、メイド・イン・イタリーの価値──手仕事への情熱、高度に洗練された独創性、人間的な温かさなのです」
昨年は創業100周年のアニバーサリーを盛大に祝い、1世紀にわたる歴史の集大成として、極めて稀少な宝石を惜しげなくあしらったハイジュエリーコレクションの展覧会も開催された。101年目となる今年も、それに劣らぬマスターピース〈Ode all'Italia〉がローマで発表され、注目を浴びた。
「ジョルジョが手がけた最新作〈Ode all'Italia〉は、イタリアそのものに捧げる抒情詩です。各地の自然が生み出す景観、古都、歴史的建造物といったものから多大なインスピレーションを得た壮麗なデザインで、これぞイタリアという美意識を感じていただけることでしょう」
こうした超級ハイジュエリーから、日常づかいのカジュアルなジュエリーまでを揃えているのがダミアーニの特徴。日本ではブランド全体のイメージや、「ミモザ」「ベル エポック」「マルゲリータ」などアイコニックなコレクションの存在をより広く伝えていきたいとファヴィエは語る。人気K-POPグループ、Stray KidsのI.Nをアンバサダーに迎えたことも、日本で話題になったばかりだ。
「私たちはジュエリーをジェンダーレスなものと捉えています。ダミアーニのジュエリーは、メンズやレディースといった従来のカテゴリーにとらわれないのです。中性的なムードのI.Nの起用は、まさにそうしたことの表れなのですが、一方でハリウッドスターのジェシカ・チャステインにもダミアーニのアンバサダーとして活動していただいています。性別、年齢、地域のカテゴリーを設けない、インクルーシブな魅力をもつジュエラーとして、日本でもダミアーニを幅広く認知していただきたいですね」
ジェローム・ファヴィエ◎ダミアーニ・グループ副社長兼CEO。カルティエ、ジャガー・ルクルトでの要職を経て2018年に着任。


