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2025.06.12 15:15

日本人が熱狂するスポーツイベントとは… 最新トレンドを検証し、未来予想図を描き出す

Photo by Alex Gottschalk/DeFodi Images via Getty Images

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「日本人は熱しやすく冷めやすい」。

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これは日本スポーツ界において繰り返し耳にする常套句である。

2002年日本でサッカーのワールドカップが開催されると、「サッカー観戦しなければ人にあらず」というほどのサッカー人気を呼び込んだ。2011年、こちらもサッカーの第6回女子ワールドカップ・ドイツ大会で女子日本代表が初優勝を飾ると連日、澤穂希さんを始めとする選手たちがメディアに引っ張りだこ。その後、14年が過ぎたが、なでしこリーグで活躍した選手の名を挙げられる日本人がどれほどいるだろうか。そもそも現在の国内女子リーグの名称をご存知だろうか。2019年、ラグビーW杯での日本代表の活躍に全国が沸いたものだが今日、日常的にラグビー観戦する人々はどれほどか。五輪でも日本選手が金メダルを獲得するたびに報道は加熱するが、先の東京五輪での金メダリストの名をどれほど挙げることができるだろう。

日本人を熱狂させるこうしたスポーツイベントの傾向を、グローバルにおける調査会社ニールセンスポーツは毎年発表している。「ニールセン・ファン・インサイト」と称されるこのデータから今、日本人を熱くするスポーツイベントのトレンドを眺めてみた。ニールセンスポーツは2020年1月より毎月最低1000サンプルを確保し、オンライン調査を実施。日本市場において、16歳から69歳の男女一般消費者を対象とし、性別、年齢、地域については実際の人口構成比に合わせ割り付けた*。

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参照したのは2022年から24年までの「日本人から見た世界の人気スポーツイベントTop30」。ここでは単なるランキング紹介に留まらず、スポーツビジネスの視点、マーケティング戦略のヒント、そして日本社会におけるスポーツ文化の未来像を描いてみたい。

「五輪」の感動体験を欲する日本人

調査からは、日本人がいかに五輪好きかわかる。24年はオリンピック・イヤー、パリ五輪開催というイベントの影響も大きいだろう。この年、夏季オリンピックについては認知率84%、ファン率41%、コアファン率19%、推定ファン数は約3184万人に達し、コアファン数も約1470万人と国民的イベントだ。その人気は22年のファン率40%、23年の39%と比較しても揺るぎない 。興味深いのは「2024パリ夏季オリンピック」について回答。当該大会単独では認知率81%、ファン率40%、コアファン率19%を記録、夏季オリンピック全体に匹敵する注目度を集めたものの、開催年に五輪本大会よりも認知率が低い。23年における認知率は75%。開催が近づくにつれ関心が高まる典型的なパターンを示した。開催年からちょうど中間地点となった冬季オリンピックも認知率84%、ファン率39%、コアファン率18%と、夏季大会と同等の高い人気を維持。季節を問わず、オリンピックというブランドが持つ訴求力の強さを物語る。これらの数値は、オリンピックが単なるスポーツ競技大会ではなく、多くの人々に“感動”体験を共有させる文化システムとして機能していることを示唆していよう。4年に一度というサイクルが生み出す希少性は、ひょっとすると日本人が太古から持ち合わせ祭り文化と呼応し、代替不能な価値を生んでいると読むべきかもしれない。

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文=松永裕司

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