スポーツ

2025.06.12 15:15

日本人が熱狂するスポーツイベントとは… 最新トレンドを検証し、未来予想図を描き出す

Photo by Alex Gottschalk/DeFodi Images via Getty Images

グローバル・スタンダードに見る熱狂

FIFAワールドカップは認知率76%、ファン率37%、コアファン率20%。22年カタール大会から2年が過ぎているものの23年のファン率35%からさらに上昇。コアファン率が20%と高いのは、日本代表チームへの強い帰属意識の現れか、それとも世界的なサッカーという競技の持つ戦術的な深さなどへの関心か、推定ファン数は約2880万人と根強い人気を継続中 。

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「東京開催」への期待感がブーストとなっているのが世界陸上選手権だ。24年、認知率79%、ファン率25%、コアファン率9%。22年の認知率は22%、ファン率はわずか8%から、23年には認知率62%、ファン率20%、驚異的な追い上げを見せている。推定ファン数は、22年の約606万人から24年には約1951万人へと、実に3倍以上。この背景には、間違いなく「2025世界陸上選手権東京大会」の存在がある。本調査でも、この東京大会は開催前にもかかわらず自国開催のビッグイベントへの期待感が、競技そのものへの関心を底上げしている格好だ。アスリート個々の活躍に加え、「東京で世界を見る」という体験価値が、新たなファン層を惹きつける可能性を秘めている。

世陸は1983年にフィンランドで初めて開催され、2年おき開催の今回が第20回大会。東京は91年に旧・国立競技場でホストとなり、2007年には大阪開催。実は3回以上開催国となっているのは日本だけという事実があり、日本における世界の陸上への注目度が高い顕在化している例かもしれない。ニールセンスポーツが世陸の公式サプライヤーである点は、本インサイトとは、まったく無関係。

特筆すべきは、箱根駅伝だろう。認知率82%、ファン率32%、コアファン率15%、推定ファン数は約2487万人。正月の風物詩として国民的行事、その地位に揺るぎなし。注目は高い認知率と、それに見合う安定したファン率だ。毎年同じ時期に、同じフォーマットで繰り返されるものの、マンネリ化するのではなく、一種の「儀式」として日本人の生活に定着している稀有な例と言え、伝統とストーリー性を重視する日本のファンの存在を示唆している。

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文=松永裕司

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