日本の「国技」は野球なのか、野球の国・日本
続いて着目すべき競技はやはり野球だろう。昭和の時代「巨人、大鵬、玉子焼き」が人気の象徴とされたものながら21世紀の現代においては巨人という単一ブランドに傾倒するのではなく、野球そのものが揺るぎない地位を確立している。中でもプロ野球の日本シリーズは、認知率79%、ファン率38%、コアファン率19%と国内のプロスポーツイベントとして頂点に立つ。23年の認知率81%、ファン率40%、コアファン率22%からはやや落ち着いたものの、ファン数は約2947万人と推定され、その熱狂は経済効果にも直結する。
同クライマックス・シリーズは認知度83%とこの点では、むしろ日本シリーズを上回るが、ファン率33%、コアファン率17%。日本シリーズへの出場権をかけた戦いは、ペナントレース終盤の興奮を持続させ、多くのファンを惹きつけていると言える。リーグ優勝チームが日本一決定戦に出場しないケースも見られるなど導入時から賛否両論あったものの、この人気を見る限り、ポストシーズン制の導入は正解だったとすべきだろう。
目新しいところでは、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)主催のプレミア12が挙げられる。2015年初開催となった本大会は基本的に4年に一度開催とサッカーW杯を模倣するかのような野球の世界大会。日本が初代王者に輝くも第2回では韓国、第3回は台湾が制するなど東アジア各国に勢いが見られるのも、日本における急成長の理由だろうか。24年には認知率41%、ファン率25%、コアファン率13%となったが、22年の認知率は27%、ファン率15%。つまり、わずか2年で認知率を14ポイント、ファン率10ポイントと上昇。推計ファン数は、22年の約1230万人から24年の約1954万人へと、約724万人ものファンを新たに獲得している 。この急成長の背景には、野球日本代表「侍ジャパン」のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、東京五輪での大活躍が、ブランド価値の向上が大きく寄与していると考えられる。この成功体験が、他の国際大会への関心にも波及し、比較的新しい大会でありながら、ポジションを確立しつつあると見なすことができる。
またMLB(メジャーリーグベースボール)のワールドシリーズも24年は認知率67%、ファン率34%、コアファン率19%と躍進。22年の認知率60%、ファン率24%から着実にファン層を拡大させている。推定ファン数でも22年の約1903万人から24年には約2703万人へと、約800万人も増加し、大谷翔平選手を要するロサンゼルス・ドジャースが世界一を奪取した大会として、MLBへの関心を飛躍的に高めている。


