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2025.06.11 08:30

アップルが「UIの大幅刷新」を断行、エコシステム全体を貫くUIとAIで体験レベルを底上げ

アップルは全製品ラインにわたる統合体験を再設計した(Apple)

アップルは全製品ラインにわたる統合体験を再設計した(Apple)

日本時間年6月10日からアップルが開催している開発者向け会議、WWDC 2025で、同社はすべてのデバイス向けOSのバージョンを、年号に付合させた「26」に置き換えると発表した。

しかしこれは単なる数字合わせではない。

Liquid GlassとApple Intelligenceという2つの基盤技術を軸に、全製品ラインにわたる統合体験を再設計している。AI機能を製品価値の核として組み込んでいく中で、彼らは戦略的に「Appleエコシステム全体」での相乗効果、価値の底上げを狙ったものだ。

Liquid Glass:再設計されたユーザー体験の設計図

Liquid Glassは、最新GPUアーキテクチャを活用した高度な光学シミュレーションによって、これまでにない視覚体験を実現した視覚効果であり、新しいUI(ユーザーインターフェイス)のガイドラインだ。

重要なのは、この技術が単なる見た目の美しさではなく、ユーザーの認知負荷を軽減し直感的な操作を可能にしている点だ。

ガラスの透過性と反射を活用した多層構造の情報表示は、限られた画面空間でより多くのコンテキスト情報を提供する。半透明、あるいは透明だが形状によって的確に屈折して像が見える下層情報が、視覚的に複数のタスクや情報源を把握させ、使いやすさや心地よさにつながっている。

(Apple)
美しさではなく、ユーザーの認知負荷を軽減し直感的な操作を可能にしたLiquid Glass(Apple)

実は似たようなコンセプトは、かつてWindows Vistaが目指したことがあった。重なるウィンドウの順番が想像しにくいなどの問題を解決するためだが、あまりリアリティや実用性にはつながらなかった。

しかし、Liquid Glassではダッシュボード表示やマルチタスク作業において、情報の可視性、見えないウィンドウの予測性が高まり、操作性が確かに向上する。

また、個人向けへの訴求では「かっこいい」デザインでもある。それは実際に動作しているアニメーションを見ればさらに強く感じるはずだ。

さらに、全デバイスでの統一されたデザイン言語は、それぞれのデバイスごとに最適化されており、統一された中でデバイスそのものの特徴に合わせて無理なく実装されている。

次ページ > Apple Intelligence:AIを自然に溶け込ませる実装

編集=安井克至

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