毎日現場に張り付いて汗を流す人間が必要だ
シュワルツェネッガーは、俳優の仕事を見切った訳ではなかったが、モッシュの創業初期にはハリウッドから身を引くことも考えたという。しかしその後、コリン・ファース主演のHBO Maxのミニシリーズに出演が決まり、2023年にはアマゾンプライムの『ザ・ボーイズ』スピンオフシリーズにおいて、主要キャストに抜擢された。さらには大人気ドラマ『ホワイト・ロータス』に出演が決まり、2024年初頭に撮影のためタイに渡ったが、俳優の仕事とビジネスの両立には苦労した。
「タイで撮影しながらモッシュの仕事を続けるのは、本当に大変だった」と彼は振り返る。「深夜2〜3時に起きて、販売店とのZoomミーティングに出る夜もあった」。
シュワルツェネッガーは、モッシュの売上高が1000万ドル(約14億5000万円)を超えた今、会社が別のフェーズに入ったと感じている。「ゼロから1000万ドル(約14億5000万円)のビジネスを築くこととと、1000万ドルから1億ドル(約145億円)までのビジネスを築くことは、まったく異なる。そしてその先の、次のレベルに引き上げるには、毎日現場に張り付いて汗を流す人間が必要なんだ」と彼は話す。
今年は2000万ドル(約29億円)超の売上高を見込むというモッシュのプレジデントで最高執行責任者(COO)のジェフ・ギャムジーは「事業の拡大を加速させるために、夏には再び資金調達を行う予定だ」と述べている。シュワルツェネッガーとシュライヴァーは今、コストコやウォルマートへの進出を模索中だ。
俳優業も好調な今、シュワルツェネッガーはますます多忙を極めている。しかし、彼にとって忙しいというのはむしろ歓迎すべきことだ。
「何年か前、あるスタジオの幹部に『ビジネスはやめろ。二足のわらじはやりすぎだ』って言われたことがある。でも、俳優の仕事とビジネスの間には多くの共通点があるし、自分のブランドが育てば俳優としてのキャリアも育つと思う。結局のところ、俳優っていうのは自分自身がブランドなんだと思う」とシュワルツェネッガーは語った。


