コロナ禍の影響の中、モッシュを起業
2020年のコロナ禍で映画業界が一斉に製作を停止した時に、シュワルツェネッガーは母と同居を始め、ふたりで「脳の健康サポート」を謳うプロテインバーブランドのモッシュを立ち上げた。この背景には、母の亡くなった父がアルツハイマー病に苦しんだことが挙げられる。モッシュには、認知機能を高めるとされる成分のシチコリンやヤマブシタケ、オメガ3などが含まれている。
「ふたりの役割は、母がビジョンを描く側で、僕はそれを実現する側。ビジネス面ではあえて批判役になることもある」とシュワルツェネッガーは言う。
ふたりはこれまでにモッシュに100万ドル（約1億4500万円）近くの自己資金を投じたという。「モッシュは、セレブが名前を貸しただけのよくあるブランドとは異なる。資金調達をしたり、エージェンシーを雇ったりはしていない。医師や専門家と一緒にバーを作って、すべて自分たちでやった。でも、当時はちょうどコロナの影響でサプライチェーンが最悪で、あらゆることがうまくいかなかった」。
2022年の売上高約6億円、2024年は約17億円の売上高
とはいえ、タイミングは完璧だった。プロテインバー市場は、2020年のコロナ禍以降に急回復を遂げ、2024年に業界全体で50億ドル（約7250億円）の売上を記録した。モッシュは最初の通年営業となった2022年に400万ドル（約5億8000万円）の売上高を記録した。
「彼はとても慎重なやり方で会社を作り上げていったと思う」とシュライヴァーは息子のビジネスの運営方針について語る。「私は、最初の年から量販店のターゲットで販売をしたいと言ったけど、彼は『いや、まずは消費者を知ることのほうが大事だ』って反対した。私生活ではそこまで慎重なタイプとは思わないけれど、ビジネスでは本当に冷静で知恵が働く」。
モッシュは2023年のシリーズAで300万ドル（約4億3500万円）を調達して、年間の売上高が700万ドル（約10億1500万円）に達した。2024年にはロサンゼルスの高級オーガニックストアと中規模の自然食品チェーンでの販売を開始して、売上高は1200万ドル（約17億4000万円）に膨らんだ。ただし同社はまだ黒字化を果たしていない。
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