アップルが世界開発者会議「WWDC25」を米国クパティーノの本社で日本時間6月10日に開催した。Apple Vision Proを発表した23年、Apple Intelligenceがベールを脱いだ24年と比べると、2025年の内容は少し控えめな印象を受けるかもしれない。だが、今秋以降に正式リリースを予定する主要プラットフォーム(OS)の大規模なアップデートをひも解いてみると、特にiPhone、iPadのユーザーにとって即戦力になる画期的な便利機能があった。
全OSのデザインにガラスのように透明な質感
iPhoneとiPadについて体験が大きく変わる2つの点から振り返る。
ひとつは、すべてのAppleのプラットフォームに共通のデザインコンセプトが適用される。「Liquid Glass(リキッドグラス)」と名づけられた新デザインの特徴は、フラットな画面上にガラスのような透明感のあるアクセントを加える。アプリのアイコンはより立体的なデザインになり、色合いがコンテンツとコンテクストに応じて変化する。アイコンやメニューの操作にともなうモーションの滑らかさも特徴だ。

システム設定の画面表示の外観モードにはライトとダークのほかに新しくオールクリア、色合い調整が加わる。オールクリアを選択するとアイコンが半透明なガラス、あるいは氷のオブジェクトのような表示になり、背景画面の地の色が反映される。
ユーザーがそれぞれに導入するアプリやサービスによって体験がちぐはぐにならないよう、アップルは外部のデベロッパやデザイナーに「Icon Composer」アプリを提供する。美しい多層表示のアイコンをシンプルに作成できるツールだ。またSwiftUIの新しいAPIによりAppleプラットフォーム全体で新しい体験原則に基づいて統一されたインターフェースの構築を支援する。

もうひとつ、プラットフォームのバージョンを示すナンバリングが、すべて「26」に統一される。発表された年にちなんで「25」にならない理由は、次期OSが今秋以降に発表され、2026年のアップル製品の原動力になるからだ。現在はiOSから派生したiPadOS以外、OSのナンバリングが不揃いだった。同世代のOSでナンバリングを横並びにすることで、最新世代のOSによる最新機能が把握しやすくなり、使いやすくなるだろう。
そうなると次は「デバイスの名称」が課題になるだろう。iPhoneは世代をシリーズの名称に入れたり、iPadはチップセットの世代で名称を揃えてきた。そしてAirPod Pro 2はそのいずれの理由でもない。アップルはユーザーの反応を見て対応を決める必要がありそうだ。