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2025.06.12 17:00

なぜ自営業の女性は心臓病リスクが低いのか? 最新の研究結果から読み解く自律性と健康の関係

Shutterstock.com

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アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では33秒に1人の割合で、心血管系疾患が原因の死亡が発生している。しかし、2025年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が実施した、2万人の社会人を対象とした新しい研究によると、自営業、特に女性の自営業は、心臓疾患の3大要因である肥満、運動不足、睡眠不足の割合が有意に低いことが判明した。

本稿ではこうした研究が、副業やギグワークを立ち上げようとしている人にとって、どのような意味を持つのかを解説しよう。

研究の要点

・2025年にUCLAで行われた大規模な研究によると、自営業の女性は従来型の会社員である女性よりも肥満、運動不足、睡眠不足の割合が低いことが分かった

・一方、男性では同様の差異は見られず、その違いは人種や民族によって一様ではなかった

・専門家は、仕事における柔軟性と自律性がこの主な要因であり、この結果は従業員と雇用主の双方に影響を及ぼすものだと指摘している。

自営業が健康に与える影響

UCLAの研究では、米国全国民健康・栄養調査(NHANES)のデータが使用された。NHANESは対面検査、客観的な健康測定、詳細なアンケートを組み合わせた、米国全土に及ぶデータセットである。研究者たちは体格指数(BMI)、血圧、運動頻度、睡眠パターンなどの要因を分析し、参加者の心臓の健康状態を総合的に把握した。

同研究による発見は、以下の通りである。

・自営業の女性は、従来型の仕事をしている女性に比べて、肥満である可能性が7.4%低く、運動不足である可能性が7%低く、睡眠不足を訴える可能性が9.4%低かった

・こうしたパターンは、年齢、学歴、配偶者の有無、収入、健康保険加入の有無などの要素を調整しても変わらなかった

・一方の男性においては、自営業であることは、心血管系疾患の危険因子の有意な減少とは関連していなかった。特に黒人およびヒスパニック系の男性では、自営業の健康上の利点はないか、あるいは逆転していた

・重要なのは、この研究が将来の心血管系疾患の強力な予測因子である医学的イベント(心臓発作など)ではなく、修正可能な危険因子(体重、運動量、睡眠習慣)に焦点を当てていることである

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翻訳=江津拓哉

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