キャリア

2025.06.12 17:00

なぜ自営業の女性は心臓病リスクが低いのか? 最新の研究結果から読み解く自律性と健康の関係

Shutterstock.com

なぜ自営業は健康に良いのか?

なぜ自営業が女性の健康を増進させるのだろうか? この研究の著者や外部の専門家は、自律性(タスクやスケジュールのコントロール)が仕事のストレスやその生理的影響を抑えるとする、JD-C(Job Demand-Control Model)モデルに言及する。

advertisement

「自営業と心臓病の危険因子の間には関係があり、この関係は男性よりも女性の方が強いようです」と、本研究の筆頭著者であり、UCLAデビッド・ゲフェン医学部助教授のキンバリー・ナレイン博士は言う。「すべての人が健康な職場環境にアクセスできるようにするために、職場環境がどのように私たちの健康に影響するのかを理解することは喫緊の課題です」

ハーバード大学と複数の研究機関による調査によると、特に女性の場合、仕事をコントロールできる度合いが高いほど、心血管系疾患の発生率に好影響があることが分かっている。

自営業者であることによって享受できる、典型的な利点を考えてみよう。

advertisement

・会社での押しつけ仕事やお役所仕事なしに、昼間の散歩、病院の予約、家族の介護の予定を立てられる

・テイクアウトのお弁当を急いで食べたり、スマホの画面を見続けながら食べたりするのではなく、手料理を用意し、臨機応変に休憩を取れる

・ストレスや変化する健康ニーズに対応するため、仕事量を簡単に調整し、睡眠の改善やエネルギーの持続を図ることができる

・心身の健康リズムに合わせた日課を作れる

これとは対照的に、従来の雇用形態では厳しいスケジュールや強制的な会議が多く、自分の健康状態に合わせて仕事を調整する機会が少ない。

男性の健康と自営業

女性が明確なメリットを享受している一方で、男性は、自営業であることによる健康上のメリットを女性と同じようには享受していないことがわかった。実際、黒人やヒスパニック系の自営業の男性は、会社員である同世代の男性とリスクプロファイルが同等か、それ以上に悪かったという。

専門家はこの結果について、いくつかの可能性を示唆している。

・構造的な障壁:マイノリティの男性は、自営業者として経済的に不安定であったり、健康資源を利用できなかったりする可能性がある

・自営業の性質:男性の方が、自営業でも肉体的にきつい仕事や不規則な仕事をする可能性が高く、それがストレスや睡眠の乱れをもたらすことがある

・社会的支援:先行研究によると、社会的ネットワークや地域社会の支援は、1人で働くことによるストレスの緩和に役立つが、こうした支援は女性の方が多く受けられるという可能性がある

自営業は万能薬ではないことを示す、こうした結果は重要だ。より健康的な職場環境を支援する政策は、構造的・人口統計学的な違いに留意すべきである。

次ページ > 企業は何を学び、何をすべきか

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事