欧州

2025.06.10 10:30

ウクライナは独自に原爆を開発できるのか? ロシアの侵攻を食い止めるために

ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トポリM」。2022年8月20日撮影(The Washington Post via Getty Images)

ゼレンスキー大統領は昨年10月に開かれた欧州理事会会合でウクライナのNATOへの早期加盟を訴えた際、自国のかつての大統領が核弾頭を搭載したICBMを自ら放棄したことを後悔していると述べた。

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1991年のソビエト連邦の崩壊でウクライナが独立した際、同国は核弾頭を搭載したソ連製ミサイルを約2000発継承した。これは世界最大級の備蓄量に相当する。

ロシア、米国、英国はブダペスト覚書を結び、ウクライナが戦略的なICBMを放棄するのと引き換えに、同国の主権と領土を尊重することを誓約した。米国はまた、ウクライナの主権を守るための安全保障を約束した。ところが、西側諸国はブダペスト覚書に記された安全保障上の約束を守っていない。

ボルフラス博士は、ロシアの侵攻を止められなかったことで、ウクライナ国民の安全が損なわれているだけでなく、核拡散を阻止しようとする世界的な運動も壊滅状態にあると指摘した。

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同博士は、ウクライナを支援する西側諸国は、ロシアの帝国主義に対する防波堤としてのウクライナの存在を維持し、「核の脅威をちらつかせた一方的な侵略は報われない」ことを示すために、ウクライナの防衛を早急に強化すべきだと強調。その上で、「長期的には、NATO加盟のような信頼できる安全保障がなければ、ウクライナは本当に核兵器による自助努力に手を伸ばしたくなるかもしれない」と警告した。

他方で同博士は、昨年秋のゼレンスキー大統領の「NATO加盟か核保有か」の最後通告は、俳優から国家元首に上り詰めた同大統領が、NATOへの早期加盟という究極の目標を押し進めるために書いた脚本どおりの、ある種の政治劇だった可能性が高いとみている。

歴史とNATOの成り立ちに精通したゼレンスキー大統領であれば、当時の東側諸国と国境を接していた西ドイツが、NATOへの加盟が認められなければ核兵器開発計画を再開するかもしれないと示唆していたことを知っているはずだ。

米国家安全保障アーカイブには「ドイツの核兵器の潜在力に対する懸念は、ナチスドイツが原子爆弾開発計画を実行した第二次世界大戦にまでさかのぼる」と記されている。それによると、西側諸国はNATO発足から6年後にようやく西ドイツの加盟を認めたが、同国のコンラート・アデナウアー首相による「核兵器を製造しないという約束」が加盟の条件だったという。

ゼレンスキー大統領自身も同様の約束を表明している。同大統領は昨年10月、NATOのマルク・ルッテ事務総長との共同記者会見で、ウクライナに核兵器を開発する意図はないが、NATOの「核の傘」の下での保護は求めていると述べた。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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