宇宙

2025.06.10 18:00

「ストロベリームーン」の満月と、数十万個の古い星々の全天一美しい輝きを見よう 今週の夜空

米ニューヨークの自由の女神と6月の満月「ストロベリームーン」。2023年6月4日撮影(Gary Hershorn/Getty Images)

米ニューヨークの自由の女神と6月の満月「ストロベリームーン」。2023年6月4日撮影(Gary Hershorn/Getty Images)

今週は「ストロベリームーン」の満月が昇る。これは北米で6月に野イチゴが収穫期を迎えることにちなんだ米先住民の暦に基づく名称で、月の色合いとは何ら関係ない。

週末が近づくにつれて欠け始めた月の出の時刻は遅くなり、そのぶん星や暗い星座が見やすくなる。その中には、最古の星々の姿もある。2025年6月第2週の星空と天文情報について紹介しよう。

6月10日(火):月とアンタレスが大接近

2025年6月10日(東京:午後7時40分ごろ)の南東の空(Stellarium)
2025年6月10日(東京:午後7時40分ごろ)の南東の空(Stellarium)

日没の約45分後に外に出て南東の低空を見ると、さそり座の心臓の位置にある赤色巨星アンタレスのすぐそばに、ほぼ満月に近い月齢14の月が見える。さそり座の見つけ方は後段で紹介する。

6月11日(水):最も南寄りの「ストロベリームーン」

6月の満月「ストロベリームーン」は今宵、太陽が西に沈んで間もなく南東の地平線上に姿を現す。そして夜通し空に低く弧を描いて移動し、南西に沈む。

米ユタ州のザイオン国立公園に昇る6月の満月「ストロベリームーン」(Zion National Park, Public domain, via Wikimedia Commons)
米ユタ州のザイオン国立公園に昇る6月の満月「ストロベリームーン」(Zion National Park, Public domain, via Wikimedia Commons)

月がこれほど南寄りから昇り、低い高度で南中するのは、月の出入り方位の最南と最北の変動幅が約18.6年周期で最大になる「Major Lunar Standstill」と呼ばれるときに当たっているからだ。lunar standstillとは月の出入り方位が1カ月の間に最南・最北に達するときを言い、この前後で南北方向の動きが止まって見えることから「lunistice(ルニスティス)」とも呼ばれる。

今年のストロベリームーンは、日本時間午後4時44分に満月の瞬間「望」を迎える。

今週の天体:ヘルクレス座球状星団(M13)

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたヘルクレス座球状星団(M13)の中心部(ESA/Hubble and NASA)
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたヘルクレス座球状星団(M13)の中心部(ESA/Hubble and NASA)

週末に月明かりに邪魔されない夜空が戻ってきたら、双眼鏡か小型望遠鏡を用意して、北半球の空(北天)で最も明るい球状星団M13を探してみよう。数十万個もの古い恒星がボール状に密集している天体で、ヘルクレス座の方角に位置し、太陽系からは約2万2000光年離れている。

午後9時半ごろ、東の空を見上げて、こと座の明るい1等星ベガを手がかりに、やや右上方に4つの星が形づくる四辺形を見つけよう。「キーストーン(要石)」と呼ばれるこの4つの星のうち、左上に位置するヘラクレス座η(エータ)星と右上のζ(ゼータ)星の間、やや左寄りにM13はある。双眼鏡ではぼんやりとした斑点に見えるが、小型望遠鏡を使えば細部までよく観察できる。

ヘルクレス座球状星団(M13)の位置を示した図(NASA courtesy of Stellarium)
ヘルクレス座球状星団(M13)の位置を示した図(NASA/Image courtesy of Stellarium)

今週の星座:さそり座

さそり座の位置を確認するなら、週明けすぐが絶好のタイミングだ。1等星アンタレスに月が大接近するため、見つけやすい。ただし、観察するのは暗い夜空が戻ってくる週末にしよう。

さそり座は全天でも指折りの特徴ある星座。アンタレスの右上には頭とはさみを象る3つ星があり、下側には長い尾が地平線の下まで伸びている。中緯度地域以北では常に低空にあり、夜空に高く昇ることはない。

さそり座と天の川(Shutterstock)
さそり座と天の川(Shutterstock.com)
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2006年以来「最も高度の低い満月」、今年6月のストロベリームーンが特別な理由

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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