ビジネス

2025.06.10 10:15

事業共創のコツは、ドラッカーに学んだ「自転車思考」にあり クロストレプレナーへの道

━━なぜそれに気がついたんですか。

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田尻:単純に、ないことに気がついたのです。自分の親がもう80歳近くです。今、どの洗濯機も大容量で洗えるし多くの機能が備わっていますが、軽くはしてくれないんです。孫の声は聞かせてくれないんです。孫の声を聞かせられる機能があったとしても、そう使え教えてくれず、洗浄力ばかりを主張しているんです。高齢者は日本でこれから増え続けるうえに、資産をもっているかたも多いので、売れると思っています。(1ユーザーとしては、作ってくれたら父の日か母の日か敬老の日にプレゼントします)

━━戸松さんは、事業共創をたくさん見ていらっしゃいますが、潜在ニーズを見つけやすい組織構造はあるんですか。

戸松:同じ社内で今のような話ができる会社はあまりないですね。例えば、R&D(研究開発)がある技術を持っていたとしても、社内では「全然カネにならない技術だ」と虐げられていたりする。それを事業共創のパートナーの人が「いや、ものすごい技術じゃないですか」と評価をしてくれる。シーズ側の専門家がその技術を見ると、「これは使い方が間違っている」「もっとこういう風にしたら売れるのに」と気がつく。やはり社内だと気づきづらいんですよね。

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━━発見ができるわけですね。

戸松:はい。だから今年クロストレプレナーアワードを受賞した人たちに聞いてみたいと思うんですよね。最初から自分たちの価値に気づいていた人がどれぐらいいるのだろうと。

例えば心臓疾患のパッチ(グランプリを受賞した、福井経編、帝人、大阪医科薬科大学による先天性心疾患の子どもたちを救う「心·血管修復パッチ」)は、おそらく病院の先生が手術に耐えうる特殊な繊維を探していらっしゃって、それで(福井経編に)お声がかかったのではないかと勝手に想像しています。そもそも自分たちの商品の本当の価値に気づけるというのが、事業共創の面白いところなんです。

━━そこは確かに面白いところですよね。

戸松:まず「潜在的なニーズ」があるじゃないですか。そして、いわゆるマーケティングの世界で言われる「顧客インサイト」がある。これは田尻さんの中でどう整理されていますか。

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文=中田浩子

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