米国立衛生研究所(NIH)によると、ソーシャルメディアは、スロットマシンとかなり近い、「当たり」が不定期に登場する変動比率スケジュールで運用されているという。報酬を求めるのは人間の本性だ。そして「いいね」やコメント、新しいフォロワー、ユーモラスなミームなどの新しい発見がないかと探索する行動は、私たちの本性を利用して、さらなる報酬や「いいね」、トレンドを求める、終わりのない探索へと駆り立てる。
これはまさに、生産性の低下や集中力の喪失、つながりの断絶、人との会話の回避を招くシナリオだ。あなたも、「いいね」の数が社会的ステータスを意味する、という誤解に陥ったことはないだろうか? だが、人気と知性は全く異なるものだ。ネガティブなニュースや極端な意見の洪水に常にさらされていると、世の中に関する歪んだ見方を持つようになる。この場合ユーザーは、人間社会が実態以上に敵意に満ちていて分断が進んでいる、と信じるようになる。これが不安や冷笑的なものの見方、さらには絶望の増大につながる。
こうしたネガティブな感情が盛りだくさんな状況が、仕事でより良い成果をあげ、自分にとって本当に大切な人間関係に深く関わり、自分の最高の部分を引き出すのに役立つ、などということがあるだろうか?
ウェルビーイングとソーシャルメディアの世界:Z世代の動き
Pew Research Center(ピュー研究所)によれば、ソーシャルメディアのアルゴリズムはユーザーのウェルビーイングではなく、エンゲージメントを最優先しているという。
人をやみつきにするものが、心の糧になるとは限らない。また、注意散漫な状態は創造性の敵だ。思わずスクロールし続けてしまうコンテンツが、有用な情報を提供してくれるとは限らない。非常に率直に言ってしまえば、現実的な何かを提供しているわけでもない(インスタグラムをチェックしてみるといい)。
情報を過剰に与えられていると、注意持続時間が短くなり、集中するのが困難になる。職場では、生産性の低下につながる。Z世代はこうしたからくりや、「つながっている」という認識が幻想であることに気づきつつある。そんな中、本当に大切なことを再発見するための取り組みとして新たな動きが起きており、際限のない画面のスクロールを押しとどめる効果が実際に出つつある。
ドゥームスクローリングやソーシャルメディアの使いすぎによる落とし穴を避けるために、Z世代が実行している3つの方法を以下に紹介しよう。
1. 「摩擦」を設ける
ミシガン大学の研究チームによる調査では、スマートフォンを少しだけ使いづらく、スムーズに使えないようにするだけで、ユーザーが自分の認知スキルを活用するようになることが示唆されている。この研究では、スクロールする前に頭を使う必要が発生するように設定した場合、画面を見る時間が16%減少するという結果が出た。
全世界で300万人以上が使用しているとうたう『Freedom』というアプリには、プラットフォームに関係なく、ユーザーが注意力減退の原因になっていると感じるアプリやウェブサイトをブロックする機能を持つ。
また、文字通りスマートフォンを手に取る回数を減らすのに役立つ『Moment』というアプリもある。ほかにも、『ZenScreen』は、画面をオンにする時間とオフにする時間をコントロールするアプリだ。例えば、ネットを見ることに10分間を費やした場合は、このアプリが強制的に20分間、スマホの画面を非表示にする、といった具合だ。
こうしたアプリを使うかどうかはともかく、ネットを使う時間に上限を設けることは、失われる時間や注意力散漫を最小限に抑えるために非常に有用な最初のステップだ。


