この不景気で新車を買おうという人が減り、そのかわりに中古車の販売台数が増えている。それなのに、中古車販売業者の倒産が過去最多に迫るペースで進んでいるという。そこには、意外な理由が隠れていた。
帝国データバンクの調べでは、中古車販売店の倒産件数が2025年1月から5月の間で50件を超えた。これは2012年以来の多さで、このままいけば年間で100件を超える見通しだ。

中古乗用車の登録台数は、コロナ禍の影響を受けた2022年に大きく落ち込んだものの、少しずつ回復の傾向にある。一方、新車は2023年から2024年にかけて下落している。それなのに中古車販売店が倒産しているのには、いくつかの理由がある。

まずは半導体不足による生産停滞だ。そのため新車の流通量が減り、それに応じて中古車の数も減った。また部品代の高騰や機能充実による新車価格の上昇も、仕入れ価格を押し上げている。そしてもうひとつ、意外な理由として円安がある。円が安くなったことで、日本車の中古車がどんどん海外に輸出されてしまい、仕入れが思うようにいかないのだ。とくに人気車種が品薄となり、仕入れ価格の高騰を価格に転嫁するのも難しく、体力のない中小中古車販売店の経営は厳しい。
このごろ問題になった一部業者の不祥事による中古車業界へのイメージの悪化も心配され、中古車販売店の倒産は今後も高水準で推移すると帝国データバンクは予測している。