バイラルの時代のコレクション
過去に流行した「Beanie Babies(ビーニーベイビー)」や「ポケモン」と同じように、ラブブの人気の高まりはキャラクターそのものに加え、コミュニティに支えられている。だが、90年代を象徴するこれらのキャラクターとは異なり、アルゴリズムとインフルエンサーによっても後押しされている。
中国の商取引プラットフォーム、小紅書(シャオホンシュ)のほかTikTokやインスタグラムでは、ブラインドボックスの開封動画が数百万回も再生されている。ファンたちはそれぞれのコレクションを丁寧に分類し、複数持っているものがあればトレードし、DIYで行ったデコレーションなどについて、情報をシェアしている。
その開封は共有される体験となり、話題になり、ファンがそれぞれのアイデンティティを示すための、デジタルバッジにもなっている。さらに、リアーナからBLACKPINKのリサまで、セレブリティたちの間での人気が、ラブブを単なるおもちゃではなく、ファッション性、ファンの世界、ライフスタイルのすべてを併せ持ったものにしている。
「つながり」を生むビジネス
口コミ動画とポップカルチャーが持つ力の背後にあるのは、途方もない利益を生み出すシステムだ。2010年創業のポップマートは、アートトイというニッチ市場を、数十億ドル(数千億円)規模のグローバルな産業に成長させた。
2020年の新規株式公開(IPO)で投資家たちの関心が飛躍的に高まった後、同社は世界中に店舗を開設、自動販売機の設置やライセンス契約などを進め、事業の拡大を図っている。ラブブ・シリーズには現在、ぬいぐるみやバッジからライフスタイルアクセサリー、アパレルまで、あらゆる商品がある。
そのラブブが多くの点で彷彿させるのは、ハローキティやディズニーのスティッチなど、グローバルなブランド・エコシステムを構築するまでに成長したキャラクターだ。だが、さらにポップマートを際立たせる真の特徴といえるのは、希少性をスケール化する力があることだ。
ラブブの限定版フィギュアのリセール価格は、もとのの販売価格の何倍にもなる高値で転売されており、その購入はおもちゃを買うことであると同時に、投資にもなっている。
eBayのマーケットプレイスには5000ドル(約72万円。1ドル=144円換算)以上の価格で出品されているラブブもあり、「狩りの興奮」のようなスリルが、リセールにおけるビジネスモデルになっている。


