健康

2025.06.11 12:00

痩せない=失敗じゃない。健康的な食事が体重減以外のメリットをもたらすことを示す新研究3つ

Shutterstock.com

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もしあなたが真剣に、時には苦労して、健康的な食事に取り組んだにもかかわらず、体重がまったく減らないという経験をしたなら、自分が失敗しているように感じたり、身体があるべき姿では働いていないと感じたりするかもしれない。しかし、複数の新しい研究は、それが必ずしも真実ではないことを示している。

まず1つ目。ベングリオン大学とハーバード大学の研究チームが欧州予防心臓病学雑誌(European Journal of Preventive Cardiology)に発表した新たな研究では、腹部肥満のある成人700人以上を対象に、低脂肪、低炭水化物、地中海式、グリーン地中海式という異なる健康的な食事法を最大2年間にわたって実践してもらった研究が報告されている。その結果、約3分の1の参加者は体重が減らず、中には体重が増加した人もいた。しかし、彼らの健康状態は意味のある形で改善していた。

予想通り、体重が減少した人々は、心臓や代謝指標に最も大きな変化が見られた。体重が1キログラム減るごとに、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が1.44%増加し、トリグリセリド(血中脂肪)が1.37%減少、インスリンが2.46%減少、レプチン(空腹を知らせるホルモン)が2.79%減少し、さらに血圧、肝脂肪、γ-GTP等の肝機能数値の改善も見られた。

しかし、体重が変化しなかった人々(主に高齢者や女性が多い)においても、HDLコレステロールの増加、レプチン値の低下、内臓脂肪(臓器の周囲に蓄積し、疾患リスクを高める脂肪)の減少が測定された。こうした変化は決して無意味ではなく、長期的な心疾患、糖尿病、その他の慢性疾患のリスク低減につながる可能性がある。

さらに、研究チームがこうした傾向の背後にある生物学的要因を調べたところ、長期的な減量結果を予測できる12か所のDNAメチル化部位を特定した。これらの部位は、なぜ同じ食事法をとっても人によって結果が異なるのかを説明する手がかりとなる可能性がある。

筆頭著者で、ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院のポスドク研究員であるアナト・ヤスコルカ・メイアは声明で「私たちは減量を健康と同一視するよう条件付けられていて、減量が難しい人はしばしば失敗者と見なされてきました。今回の発見は、臨床的な成功の定義を再構築するものです。体重が減らなくても、代謝を改善し、長期的な疾患リスクを減らすことができるのです。これは失敗ではなく希望のメッセージなのです」と述べた。

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翻訳=酒匂寛

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