ジャクソンは、ホイットニー・ヒューストンをはじめとする多くのアーティストのキャリアを立ち上げた、アリスタ・レコードの伝説的な創設者兼CEOであるクライブ・デイヴィスを師事した。ジャクソンは故ルーサー・ヴァンドロスをプロデュースし、カニエ・ウェストのマネージャーを務め、ヒューストンの最後のスタジオアルバムをプロデュースした。
その後、ジャクソンはインタースコープ・レコードに移り、後にドクター・ドレーとBeats Musicを設立したプロデューサーのジミー・アイオヴィンと仕事を始めた。2014年、Beats Musicは30億ドル(約4330億円)以上でアップルに売却され、ジャクソンはApple Musicのクリエイティブディレクターに就任している。
「高校も大学も卒業していない」と話すジャクソンは、アップルに7年間在籍した後、同社の経営陣としては珍しく自身の企業を立ち上げるために退職した。
2023年にジャクソンが創業したガンマには、ドジャースの共同オーナーであるトッド・ボーリーが率いるエルドリッジ・キャピタルや独立系の映画スタジオのA24、そしてアップルが出資した。ガンマはその後、デジタル配信企業Vydiaを買収してテクノロジープラットフォームにしている。
ジャクソンは、ガンマをレコードレーベルと呼ぶのを嫌うが、すでに複数の一流アーティストと契約している。同社は、スヌープ・ドッグやアッシャー、リック・ロスと契約を結んだほか、ヒップホップ・レーベルの草分け的存在である「デス・ロウ・レコード」のカタログ配信でもスヌープ・ドッグと手を組んだ。
アーティストとの関係を変える
レコード会社に利用されていると感じるアーティストが多い中で、ガンマは所有権の代わりに長期ライセンスを結ぶことで、アーティストが自身の作品をよりコントロールできるようにすることを約束している。
「今は、起業家が起業家を支える時代になってきている。ジャクソンは、既存の音楽業界のやり方に固執せず、アーティストが自分たちのビジネスを築き、新しい可能性を追求できるよう真剣に考えている」とエルドリッジ・キャピタルのボーリーは述べている。
「ラリー・ジャクソンがガンマで取り組んでいるのは、単なる音楽以上のもの」とキャリーはフォーブスに語る。「彼の仕事は、レガシーを大切にしつつ、境界を押し広げていくこと。私は、彼との仕事を通じて、自分自身の物語を自らの条件で自由に創造していくことにわくわくしている」


