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2025.06.09 12:00

「台湾長者番付」2025年版発表、AI関連で2組が新たにランクイン

Shutterstock.com

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フォーブスは6月4日、台湾の富豪ランキング 2025年版を発表した。台湾の半導体産業は依然として活況を呈しており、2024年の実質域内総生産(GDP)が前年比で4.3%増と、3年ぶりの高さを記録した同国の経済成長をけん引している。

トランプ政権による関税への懸念を受けて、ここ1年の台湾市場における株式指数の伸びはわずかなものに留まったものの、このランキングに登場する50人の富豪の総資産は、為替の影響で昨年の1740億ドル(約25兆1000億円)から1970億ドル(約28兆4000億円)へと13%増加した。

本年度のランキングでは、50人のうちの36人が資産を増やし、上位の順位が大きく入れ替わった。最大の増加額を記録したのは富邦金融(フーボン・フィナンシャル)を率いる蔡明忠(ダニエル・ツァイ)と蔡明興(リチャード・ツァイ)の兄弟で、資産総額は前年から32億ドル(約4620億円)増えて139億ドル(約2兆円)となり、1年ぶりに首位に返り咲いた。富邦金融の株価は、銀行業務の拡大を背景にここ1年で約16%上昇した。

昨年のランキングで1位だったクアンタ・コンピュータ会長のバリー・ラムの保有資産は、ここ1年で8%増加して126億ドル(約1兆8200億円)となったにもかかわらず、2位に転落した。ノートパソコンや人工知能(AI)向けのサーバーを製造する同社は、2月に米国の量子コンピュータ開発を手がけるリゲッティ・コンピューティングと提携し、超伝導量子コンピューティング技術の開発に乗り出した。

3位には国泰金控(キャセイ・フィナンシャル・ホールディングス)を率いる蔡宏図(ツァイ・ホンツー)と蔡政達(ツァイ・チェンダ)の兄弟が入り、保有資産は109億ドル(約1兆5700億円)とされた。富邦金融の兄弟のいとこにあたる2人は、昨年の5位から順位を2つ上げた。

今年は3人の新顔がランク入りを果たしたが、そのうち2組は近年注目が高まるAIサーバーの事業でビリオネアとなった。サーバー向けのガイドレールや周辺部品を手がけるキング・スライドの創業者の林聡吉(リン・ツォンチー)は、保有資産29億ドル(約4190億円)で24位に入った。

半導体の冷却部品を供給するジェンテック・プレシジョン・インダストリアルを率いる兄弟の蔡宗信(チャオ・チョンシン)と蔡永昌(チャオ・ユンツァン)らも、AIデータセンターの急増による需要拡大の恩恵を受けて保有資産21億ドル(約3030億円)で32位にランクインした。

2021年に台湾一の富豪だった、ナイキなどのブランドの靴の製造を手がける華利(ファーリー)実業集団の張聰淵(チャン・ツォンユエン)の保有資産は、昨年から18億ドル減少して83億ドル(約1兆1700億円)で6位に入った。華利実業の株価は、トランプ政権の関税への懸念を背景に20%以上下落した。

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編集=上田裕資

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