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2025.06.08 14:00

Airbnb6.5万件削除、域外者の不動産購入に100%課税案⋯家賃高騰のスペインが大なた

スペイン・バルセロナの街角に掲げられた、オーバーツーリズムに抗議するメッセージが書かれたプラカード。2024年8月17日撮影(Michiko Chiba / Shutterstock.com)

住宅の絶対数も不足

Airbnbはスペイン当局の物件削除命令について、引き続き争う意向を示している。同社は、地元住民が手ごろな価格の住まいを見つけられない根本的な原因は住宅の供給不足にあると考えており、「解決策は住宅建設数を増やすことであり、それ以外はごまかしだ」と主張している。

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Airbnbの主張には一定の正当性があるだろう。というのも、スペインでは実際に住宅が大幅に不足しているからだ。スペイン銀行(中央銀行)の試算によれば、EUの住宅基準を満たすには低所得者向けの社会賃貸住宅が150万戸必要とされる。

同様の問題は欧州のほかの国々でもみられる。1960年代以来、住宅建設数が減少してきた英国のキア・スターマー首相は5月下旬、住宅建設の障害を撤廃するための措置を講じた。ブルームバーグ通信によると、英政府は向こう5年間で新規住宅を150万戸建設する目標を掲げている。

ゴールデンビザやデジタルノマドも圧迫

スペインでは、不動産投資家の急増や、IT(情報技術)を駆使して国境にとらわれず働く「デジタルノマド」の流入も状況を悪化させる一因になっている。家主側は、保護が手厚い長期入居者よりも短期滞在の入居者を優先するようになっている。

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家賃や住宅価格の上昇は、スペインが最近ゴールデンビザ制度を打ち切った主な理由のひとつだ。国内の不動産に50万ユーロ(約8300万円)以上の投資をしたEU域外の外国人に3年間の居住許可を与えるものだったが、ペドロ・サンチェス首相は、このビザに関連して行われた投資のほとんど(94%)が、マドリードやバルセロナなどすでに逼迫している住宅市場向けだったと述べている。

サンチェスは外国人による不動産購入も抑えようとしており、EU加盟国以外の居住者による不動産購入に100%の税金を課す方針を示している。サンチェスは観光地の不動産を外国人が買い漁っていることを問題視している。外国人によるスペインの不動産購入では英国人の買い手によるものが最も多い。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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