ゴールデンパスポート制度が終了してもゴールデンビザ制度は依然有効
今回の判決はマルタのゴールデンパスポート制度に対するもので、同国のゴールデンビザ制度は依然として有効だ。グローバルシチズン・ソリューションズによれば、マルタのゴールデンビザ制度は引き続き運用されており、最近の判決による影響はないという。
同社の報告書によると、最新のゴールデンパスポート制度ランキングで上位を占めたのはカリブ海諸国で、最近の政治的傾向が浮き彫りになった。一方のゴールデンビザ制度ランキングでは、ギリシャとマルタが主導した。
投資移民制度に対する批判
ゴールデンパスポートやゴールデンビザといった投資移民制度は長年にわたって物議を醸してきた。反対派は、これらの制度は排他的であり、貧富による不平等を助長し、一般市民が利用できない特権を富裕層が「買う」ことができる二層構造を生み出していると指摘。特にEUの「誰もが平等に市民権や居住権を得られるべき」だという原則を損なうものだと批判している。欧州委のディディエ・レインダース司法委員(当時)は2022年、「EUの価値は売り物ではない」と訴えた。
投資移民制度を利用してEUに居住し、マネーロンダリング(資金洗浄)や組織犯罪に関与する事例もある。こうした安全保障上の理由から、英国やアイルランドをはじめとする国々はウクライナ侵攻の開始に伴い、自国の投資移民制度を廃止。ロシア国籍者がこれらの制度を通じて市民権を取得できないようにした。ウクライナ侵攻開始直後の2022年3月、マルタもロシア人とベラルーシ人の入国審査を一時停止したと発表した。
また、経済的な観点からの批判もある。同制度を通じて投資された資本は、一般大衆よりもむしろ少数の富裕層に利益をもたらすと考える人もいる。さらに政治的に問題となるのは、これらの制度によって不動産価格が高騰し、地元住民にとって住宅が手に入りにくくなる可能性があることだ。これを理由にスペインは今年4月、ゴールデンビザ制度を廃止した。
欧州司法裁は、マルタのゴールデンパスポート制度は「EU市民権の商品化」であり、加盟国間の連帯と相互信頼の原則を損なうものだと判断した。その上で、EU市民権は商品として扱われるべきではなく、申請者と付与国との間に「真のつながり」がなければならないと指摘した。
英紙ガーディアンは2021年、マルタとのつながりがなく、数週間しか滞在していない超富裕層に同国の市民権が付与されたと報じた。同紙は、こうした制度を通じて居住権を得た人たちの物件の多くが空き家になっているとして、単にEU域内を自由に移動するために在留資格を得たことが示唆されていると伝えた。


