欧州はなかなか手ごわい相手だ。5億5000万人の市場から簡単に譲歩を引き出せるのであれば、そもそもトランプが50%もの関税で脅すはずがない。
米通商代表部(USTR)が貿易相手の国々に対して、交渉の期限が近づいているとリマインドする手紙を送ったというのも実に示唆的である。もしホワイトハウスの電話が鳴りっぱなしで、各国から好条件が次から次に提示されているのなら、そんな体裁の悪い手紙をわざわざ送る必要もないはずだ。
さらに言えば、トランプがもし本当に、習は大幅な譲歩をする気があると信じているのだとすれば、彼のチームはなぜ中国人留学生をビザ(査証)取り消しで狙い撃ちにするという、ディールを危うくするような真似をするのだろうか。一方の中国側は、今週流れた「中国が(米ボーイングでなく)欧州エアバスの航空機を数百機購入することを検討している」というようなニュースが、トランプを激怒させるであろうことをよく心得ている。
ここ数週間の動きを見る限り、世界の2大経済大国が誠意をもって、中身のある貿易交渉に臨みそうにはどうにも思えない。
トランプの深夜の投稿は、今週その後に予定していた習との電話協議について、彼なりのやり方でリマインドしたものだったのかもしれない。実際、両首脳は5日に電話で話し合った。だが、トランプはそろそろ、自分との貿易ディールに習が乗り気でないということを悟るべきではないか。


