加速するビジネスのグローバル化は、「学び方」にも大きな変化をもたらしている。より大きな視点で仕事を俯瞰し、目的を達成するための最新最適の手段を選択するために、「実践的に経営を学ぶこと」の重要性が増しているのだ。いま、「ビジネススクール」が、ビジネスパーソンの大切な学びの場となっている所以だ。ビジネススクールは、MBA取得を目指す志の高い学生たちの意欲に応え、「全国どこでも同じ授業が受けられる」、「海外からの教授による授業」、「職歴15年以上が対象」など、各校の教育理念に沿ったプログラムで門戸を開いている。日本を代表する5校のキーパーソンに、各校の特徴や教える側からのアドバイスを聞いた。
グロービス経営大学院 田久保善彦 経営研究科 研究科長
能力開発を行い、志を醸成し、ネットワークを築く。
(中略)「2014年4月の入学者数は約600人に達し、既に通算1,400人超の修了生を送り出しきました。皆さん、ビジネスの第一線で活躍する教員や大学院生相互の切磋琢磨のなかで、実力をつけています」。グロービスが修了生に対し、定期的に実施しているアンケートでも成果は明らかだ。既に多数の起業家を生み、大企業の経営陣も多数生まれている。
学びを成果につなげる修了生を数多く生み出している背景について、「『最高の能力開発の場を提供し』『志を醸成する場を提供し』『生涯の友人を得る場を提供する』というグロービス経営大学院の教育理念に共感し、懸命に学び、そして実務に生かす人が多いから」と語る。(以下略、)
青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 髙橋文郎 研究科長・教授
米国のMBAに匹敵する高度な教育水準を、「明るく・楽しく・厳しい」環境で学ぶ。
(中略)実践重視の講義を行う教員のなかには、海外での研究・教育経験のあるアカデミックな教員やビジネスの経験をもつ教員も多くいます。卒業生との交流も盛んで、実践的で先駆的ビジネスのあり方を学べます。
ABSのプログラムは、新卒者も入学可能なフル・タイムMBAと社会人向けフレックス・タイムMBAのプログラムがありますが、講義内容は共通しており、20 代前半の新卒学生から50 代の学生が席を並べて学ぶことができます。定員は100名で、審査方法は書類審査と面接審査のみ。フレックス・タイムMBAは、出願の時点で企業等の組織に勤務し、入学時までに3年以上の職業実務経験を有するという条件。卒業に際しては、TOEIC®730点以上という規定はありますが、修士論文の提出は義務付けられていません。初年度納入金は学費、諸会費込みで136万9,000円と低めの設定で、学生ローンや奨学金制度もあり、自己投資の範囲内でチャレンジできそうです。実際、毎年ABSのなかで人脈を広げ、転職を成功させたり、起業を果たしたりする人も少なくありません。(以下略、)
早稲田大学ビジネススクール 遠藤功 教授
量が質の高さを決める。MBAなら早稲田、の自信。
(中略)WBSの受験倍率は毎年2~3倍と高い。国内で屈指の人気ビジネススクールである。入試も、一般入試、AO入試に加え、語学能力重視入試、また事業承継者入試など、さまざまな選考方法がある。多様性を評価し世界基準に見合う人材育成を目指すWBSらしさが入試の時点からあると言えるだろう。(中略)
“ WBSのもうひとつの特徴は「アカデミック+実務家教員のバランスが良い」ことだ。遠藤教授自身、現在もローランド・ベルガー日本法人会長を務めており、ベストセラーとなった著書も多い。実務家教員を揃えるビジネススクールは多いが、例えば内田和成ボストン・コンサルティンググループ元日本代表、平野正雄マッキンゼー・アンド・カンパニー元日本支社長など、世界を代表するコンサルティング会社の日本代表を務めた教授陣を複数名擁するのはWBSの“質の高さ”を物語っているだろう。アカデミック教員も一流の顔ぶれが集結している。(以下略、)
マギル大学大学院 マギルMBAジャパンプログラム フィリップ・オニール MBAジャパンプログラム ディレクター
本校と同じ授業で、世界に通用する人材に。
(中略)プログラムは5つのコースがある1年次(コア)とジェネラルマネジメントの講義がある2年次に分かれ、20カ月で修了となる。
「ほぼすべての学生が仕事をもって働きながら授業を受けています。マギルMBAジャパンプログラムでは、就業経験を生かすことで、より生徒の能力が向上できるようデザインされています。入学には最低2年以上の就業経験が必要なため、学生の平均年齢は34歳と、モントリオール本校やほかのビジネススクールに比べると、少し高めです。入学選抜基準は高く、TOEFL®のスコアと、経済学に必要な数学のテスト・GMAT®のスコアも提出していただきます。海外生活の経験者や留学経験のある生徒さんもいらっしゃいます」
カナダ本校でMBA科目を履修するインターナショナルスタディートリップや、海外の企業を訪問して学ぶスタディーツアーなど、日本という枠を超えて学ぶ機会が豊富にあるのが魅力だ。(以下略、)
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 河野宏和 研究科委員長
職責を全うしながら学べる新プログラムでさらに進化
(中略)「来年4月から新しいプログラム、ExecutiveMBA(EMBA)を開設します。経済社会の急速なグローバル化、OJTベースの人材育成の限界、そして欧米だけでなくアジアでも多数の有力校がExecutive MBAプログラムを設置していることがきっかけになっています」
この新しいEMBAプログラムは、将来の経営を担う中核ミドル人材を、異業種・異文化のなかで育成することが狙いである。応募資格には15 年以上の職務経験が必要なので、40歳前後のエグゼクティブを対象としたプログラムとなる。授業は毎土曜日+短期合宿型授業で集中して学び、職責を全うしながらMBA取得を目指す。
「KBSはその52年の実績から日本で唯一、北米のAACSB、欧州のEQUISというビジネススクールの国際認証を継続取得しており、世界のトップ・ビジネススクール48 校と学生交換プログラムで提携しています。こうした国際提携による人脈やコンテンツを最大限に活用し、EMBAプログラムでは国内外でのフィールドワークを行う計画です」(以下略、)