利便性追求と同時にスマホのセキュリティへの配慮も
一方でこの会見では、今年4月に成立したスマホソフトウェア競争促進法に関連した質疑もあった。この法律では代替アプリストアや課金システムの利用を妨害してはならないとされており、iPhoneのアプリ品質に関してアップルのコントロールを失う可能性がある。いわゆる「サイドローディング問題」だ。
欧州では先行してその状況が発生しているが、Androidに比べてセキュリティが強固とされるiPhoneの完全性を阻害するルールともいえる。この法律に関してはデジタル庁の管轄ではないが、マイナカードのセキュリティ議論を深める上では、避けて通れない話題だろう。
平大臣はサイドローディングの課題について、管轄省庁が異なることを前置きした上で「個人的には競争環境の整備とセキュリティの問題が両立するよう慎重な立場で検討している」と話した。
スマホソフトウェア競争促進法は、市場での競争環境を整えることが目的だが、競争環境を整えることで、同時にセキュリティの問題が生まれる認識は持っていると明言した。
一方で、スマホソフトウェア競争促進法によって「広く国民に不安が広がっているという認識はありません(平大臣)」とも話す。
ご存知のとおり、デジタル大臣の職は河野太郎氏から受け継いだ直後であり、より踏み込んだ考えはまだないのかもしれない。しかし行政DXに関する大きな一歩だけに、管轄省庁の壁を超えて、サイドローディングを起点とするセキュリティ懸念への議論も、改めて深めてほしいところだ。


