「マイナカードのスマホ実装」は、新たな民間サービス拡大の入り口
漠然とした不安に対し、丁寧に対処すべき一方で、スマホをマイナカード代わりに利用できることで、新しい可能性が見えてくることも間違いない。
それは行政手続きの効率化や公的身分証明だけでなく、民間サービスにおける新たなビジネスチャンスを創出を促すきっかけになる、ということだ。
かつて米国の社会保障番号が、多様な民間サービスにおける個人認証の基礎となったが、現代のデジタル社会においては、さらに進んだネットワーク社会の中での新しい可能性が拓ける。
例えば、ある商業施設が「渋谷区在住の20代限定」のキャンペーンを実施するとしよう。
従来なら住所や年齢を証明する書類の確認が必要だった。しかし、マイナンバーカードの部分的属性証明を利用すれば、個人を特定する情報を明かすことなく証明できる。
企業がターゲット層にピンポイントでアプローチできる一方、消費者は自分の属性に最適化されたオファーを受け取ることが可能になる。
同様に音楽フェスやスポーツイベントでは、年齢確認や本人確認、地域住民優待などをスマートフォンをかざすだけで利用可能になる。これはチケット転売の対策としても有効だろう。また、購入者以外の入場を技術的に防ぐことができ、イベントの公正性を保つことができる。
銀行口座の開設やローンの申し込みなどには、従来多くの書類と時間が必要だった。細かな個人情報の記入と、それらを元にした履歴情報などにアクセスする必要があったためだ。しかしマイナカードなら、これらの手続きをすばやく行うこともできる。スマホの中で解決できるなら尚更のことだ。
また、アレルギー情報や健康状態を任意で登録しておけば、購入時に商品が自分に適さない場合にアラートを出すことが可能だ。高齢者向けには、薬の飲み合わせチェックなども実現でき、消費者の安全と健康をサポートする新たなサービスが期待される。
もちろん、物理カードでも可能だが、スマートフォンの生体認証との組み合わせは、利用へのハードルを大きく下げるだろう。


