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2025.06.07 10:00

iPhone版デジタルマイナカード登場で、あなたの生活はどう変わる?

マイナカードのiPhone搭載開始を発表する平将明デジタル大臣

3. 健康保険証としての活用

iPhone搭載ではスマートフォンが健康保険証(いわゆるマイナ保険証)の代わりとしても使えるようになる見込みだ。

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病院受付の顔認証付きカードリーダーにスマートフォンをかざすことで、保険資格を確認する運用が行えるようになる。保険証としてマイナカードを持ち歩く必要がなくなり、医療機関での手続きもスムーズになるはずだ。

マイナ保険証機能はiPhoneだけではなく、Androidでもアップデートの上で対応する。2025年7月から一部医療機関で実証実験が開始され、9月以降順次運用が始まる予定だが課題はある。NFCとBluetoothに対応する必要があるため、端末に追加デバイスが必要になる。

4. マイナカードの応用拡大に伴う活用シーン

マイナカードは公的信頼性の高い本人確認プラットフォームとして、図書館カードや各種資格証明への応用、災害時・救急時の本人確認など、利活用シーンの拡大が進められている。

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それらのサービスも、これからはiPhone(将来的はAndroid機も)の非接触IC機能で使いこなせるようになる。

ただし物理マイナカードに組み込まれる運転免許証機能は、マイナカードに別アプリを組み込んで動かしているため現時点では対応できない。こちらは別途、運転免許機能をデジタル化する別アプリとして提供されることになる。

デジタル移行期には「周知」の課題も

マイナカードのデジタル化は利便性の一方で、発表以来、懸念の声も存在している。その多くは「新しいテクノロジーへの漠然とした不安」だが、国全体で導入するシステムでは、そうした論点は見過ごせない。

技術的な課題よりも、「漠然とした不安」に対して適切な情報を広報する方が、ずっと難しいとさえ言える状況だ。

1. 「実質的強制」への不信感

健康保険証のマイナンバーカードへの統合が進む中で、マイナンバーカード自体が「事実上必須化」されているとの指摘がある。この文脈でスマホを使うユーザー全員にマイナンバーカードのデジタル利用が強制されるのではないかとの声を見かけた。しかし物理カードとデジタルカードは併存でき、引き続き物理カードも利用できる。

2. 情報漏洩・国外企業依存への不安

「スマホをハッキングされたら個人情報が抜かれるのでは」「Appleに情報を握られるのでは」といったセキュリティ面の不安も多く聞かれる。

しかしデータは端末内で完結し、暗号化保存されていること、Apple側にもはマイナカード内のデータは渡らない仕組みだ。一方で、その背景情報をしっかりと伝える必要はあるだろう。

3. デジタルデバイド拡大への不安

スマートフォン搭載が進めば、「スマホを持たない人が取り残されるのでは」という指摘も存在する。高齢層では未所持者も一定数いることからの指摘だが、物理カードが使えることに違いはない。

スマホ非所持者でも行政サービスに差が出ないようにすることは政府の基本方針だが、物理カードが引き続き使われ続けることの広報戦略が重要になる。

次ページ > 「マイナカードのスマホ実装」は、新たな民間サービス拡大の入り口

編集=安井克至

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