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2025.06.16 14:15

実装フェーズへの投資が加速 クライメートテックの現在地

「Wall Street Green Summit 2025」にて

様々なセッションの様子
様々なセッションの様子

アメリカでは、クライメートテックに限らず全般的に、初期段階のスタートアップ企業への投資の減退や、独禁法などの影響でGAFAMなどのM&Aの減速に伴い、入口・出口共に苦しい時代に入っている。

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トランプ政権下においては、パリ協定からの再脱退を表明し、「drill.baby, drill」というエネルギー政策を象徴するフレーズにもあるように、脱炭素とは真逆の方向に進んでいる。このVCの言葉ではないが、米国におけるクライメートテック領域スタートアップへの逆風は当面収まりそうにない。

日本企業に問われる意思決定のスピード

WSGS2025とNet Zero Insightsの報告は、クライメートテックを巡る地政学的・資本的構造が「拡大」から「選別と実装」へと移行していることを明確に示している。欧米における政策と金融の連動、インフラ整備を伴う資金の大型化、ブレークスルー技術に対する研究投資の継続など、プレイヤーごとの戦略はすでに次の局面に入っている。

そうしたなかで、日本企業の出遅れが懸念される。再エネ設備や蓄電池素材、燃料電池などの分野では高い技術力を持つが、国際的な資本連携や大型プロジェクトでの主導権獲得においては、慎重な姿勢が足かせとなりつつある。スタートアップ投資でも、国内中心の資金循環にとどまっている例が多く、欧米の成長エコシステムとの格差が広がっている。

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短期的な投資回収が見込みづらい分野でこそ、官民の役割分担や長期視点での資金供給体制が重要になる。ESG投資に対する信頼性担保や、開示制度の整備も、国際的なスタンダードに沿ったものに移行する必要があるだろう。

脱炭素は経済競争の主戦場へ

WSGS2025は、脱炭素の未来がもはや技術革新のみによって切り拓かれるものではなく、制度・資本・人材の複合的な統合によって支えられるべき段階にあることを示したといえそうだ。Net Zero Insightsのレポートが指摘するように、選ばれる領域・選ばれる企業への資源集中が進む中、日本企業にもまた選択と集中、そして意思決定の速さが問われている。

脱炭素は「環境対応」ではなく、「経済競争の主戦場」となりつつある。先行する欧米勢とどう伍していくのか。日本が真に国際競争力を持ったグリーン・イノベーションの担い手となるためには、いまこそ経営と政策の双方における再構築が求められているといえそうだ。

文=富谷瑠美

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