クライメートテック分野に特化したマーケットインテリジェンスプラットフォーム、Net Zero Insightsの年次レポート「State of Climate Tech 2024」によれば、2024年の気候テック関連資金調達額は約922億ドルと、前年から微増した。一方でディール件数は減少し、1件あたりの調達額が拡大する傾向が強まっている。
特に、全体の約半分を占めるデット(債務)ファイナンスによるギガラウンド(10億ドル超)の存在感が増しており、ファシリティ建設や供給能力拡張といった実装フェーズへの投資加速を示している。
地域別では、ヨーロッパが初めて北米を上回った。スウェーデンやフランスでの大型プロジェクトへの資金集中が背景にある。一方、米国は依然としてブレークスルー型技術への投資が活発で、研究開発段階(Breakthrough)企業への出資額は欧州の倍以上となっている。
初期段階のスタートアップには逆風が吹いている。プレシードおよびシードラウンドのディール数は前年比で22.1%減少し、VC資金が成長段階以降のプロジェクトに集中しつつある。市場では「選ばれる技術」だけでなく、「社会実装可能性」や「資本の統合力」が問われるフェーズに突入している。
評価軸も変化している。エネルギー、交通、循環型経済など政策後押しと市場性の両方を備えた分野が資金の集積先となる一方、水資源や自然環境、排出管理といった分野は引き続き資金ギャップに直面している。Net Zero Insightsは、脱炭素投資が「選ばれた領域とプレイヤー」に絞られていく段階にあると分析している。
地球のため、の先
Net Zero Insightsは、データベース事業を超えたコミュニティ形成を行っており、欧州を軸に米国にも拠点を構え拡大を続けている。WSGS2025でもサイドイベント的な位置づけで、1日目の夜に別会場で”NYC Climate Tech Mixer”を開催。米国を中心としたクライメートテックに関するスタートアップ企業、研究者、投資家などが集う熱気溢れる会になった。クライメートテック関連する人材を採用活動中の参加者も一定数みられ、同領域の人気の高さと、米国の景気後退の波を肌で感じることができた。
そこでのVCの方の言葉が印象的だったので紹介したい。
「米国のクライメートテックは、近年の世情の変化で文脈が大きく変わった。この領域のスタートアップ企業のピッチから、『地球のために』というメッセージがなくなり、代わりに、『コスト削減のため』『生産性向上のため』というメッセージにとってかわった。彼らは訴求方法を変えて生き残りを模索している」


