旅行先での乾杯や地酒の試飲は、日本の観光体験の定番とされてきた。しかし、実際には多くの旅行者が飲酒機会に対してストレスを感じている実態が明らかになった。
JTBパブリッシングが20〜70代の旅行意欲の高い層536人を対象に実施した調査によると、旅行先での飲酒機会に対してストレスを感じたことがある人は男性25.6%、女性28.8%に上った。4人に1人以上が、旅行先でのお酒に関して何らかの負担を感じている計算だ。
「飲みたくないお酒を飲んだ」経験が16.6%
具体的なストレス内容を見ると、「飲みたくないお酒を飲んだ(注文した)ことがある」が16.6%で最も多く、「お酒を飲まない(飲めない)ため、入りたいお店を断念したことがある」が12.5%、「早めに退店したことがある」が7.4%と続いた。
注目すべきは、統計分析の結果、旅行回数が多いほど、さらに飲酒頻度が高いほど、このようなストレスを感じる傾向が強いことだ。旅慣れた人や普段からお酒を飲む人でさえ、旅行先での飲酒環境に違和感を抱いている状況が浮かび上がる。
回答者の飲酒習慣を見ると、男性の39.6%、女性の64.2%が「飲まない・月に1〜3日」と回答しており、特に女性で飲酒習慣のない層が多い。それでも年に2回以上の国内旅行をする人が男性69.5%、女性68.9%と旅行意欲は高い層であり、飲酒を前提としない旅行スタイルへのニーズの高さがうかがえる。
「モクテル」認知度は女性で約3割
欧米のZ世代に広がる「あえて酒を飲まないライフスタイル」を指す「ソバーキュリアス」について、「知っている、意味も理解している」と答えた人は男性7.9%、女性4.6%にとどまった。
一方、ノンアルコールカクテルを意味する「モクテル」については、男性19.5%、女性29.1%が理解していると回答。女性の方が10ポイント以上高い認知度を示しており、具体的な商品・サービスとして受け入れられている状況がみてとれる。
