2027年には「月の裏側」へ
ispaceでは今回のミッション2と並行して、2027年に予定されるミッション3の準備も急ピッチで進めてきた。同計画では、ispaceの米国法人が開発する新型機「APEX 1.0」ランダーが投入さる予定で、日本の探査機としては初めて「月の裏側」への着陸を試みる。レジリエンスは月周回軌道への投入までに4カ月弱を要したが、APEX 1.0は1カ月程度で月に到達する軌道を採用する。ちなみに月の裏側への着陸は、米ファイアフライ社(ブルーゴースト・ミッション2)も2026年に予定している。
月の裏側は地球からの電波が直接届かないため、APEX 1.0は月周回軌道上でリレー衛星を2機放出し、それを介することで地球とのコンタクトを可能とする。このミッションは米国の非営利団体ドレイパー研究所を主体とすることにより、在米企業だけを対象としたNASAのCLPS(商業月面輸送サービス)の選定を受けることに成功している。その結果、同計画ではNASAのペイロードを月の裏側に輸送し、そのサービス料(タスクオーダー契約料)として6200万ドル(約90億円)を受け取る。
レジリエンスの最大ペイロードは30kgだか、ひと回り大型のAPEX 1.0では300kgまで拡張され、本来の事業である輸送契約における大幅な増収が見込まれる。当初このミッションは2026年に予定されていたが、スロットル制御が可能な新型エンジンに換装されることになり、その開発のために実施が後ろ倒しされた。また、この機体には米国のゼノ・パワー社が開発したRPS(放射性同位体電源)が搭載される可能性があり、同社とispaceは4月10日、その使用に関する提携を交わしている。
これと同じ機能を持つ発電装置としてはRTG(放射性同位体熱電気転換器)が知られているが、同システムは太陽光が十分に届かない深宇宙探査用の機体などに使用されることが多く、取り扱いも困難であることから過去に民間機に搭載されたことはない。
今回の着陸失敗によってispaceは、競合であるIM社とファイアフライ社の米国2社に遅れをとるかたちとなった。また、2025年中にはジェフ・ベゾス率いるブルーオリジン社も新型月輸送機の飛行テストに臨む予定だ。ispaceがこれらの集団からさらに遅れるかどうかは、今回の事案の検証と、次のミッションにかかっているといえる。


