ルードヴィヒ共有経済繁栄研究所(LISEP)が2025年5月に公開した調査によると、米国における「真の失業率」は24.3%で、数百万人のアメリカ人が「機能的失業者(Functionally unemployed)」(訳注:実質的失業者、事実上の失業者とも)だという。機能的失業者は、失業者に加え、フルタイムの職を求めているが見つけられない人々、および貧困賃金の仕事に就いている人々と定義されている。
LISEPの大胆な主張は、米労働統計局(BLS)が発表した4月の失業率4.2%とは対照的である。しかし、CBSニュースが引用した挑戦的な同調査によれば、政府のデータは雇用の実情について過度に楽観的な状況を描いている可能性がある。
「機能的失業者」:失業者数は過少報告?
LISEPの指標によると、「機能的失業」は増加を示しており、過去3カ月でその数値は24%にまで上った。これは、政府が発表している失業率の数値がはるかに小さいのとは対照的だ。「われわれは、(米国の)4人に1人近くが機能的失業者であるという雇用市場の現実に直面しており、現在の傾向は改善の兆しをほとんど示していません」と、LISEPのジーン・ラディックは述べる。「あまりにも多くの米国人が、依然として生活苦にあえいでいるというのが厳しい現実であり、信頼できる高賃金の雇用が増えなければ、経済的機会格差は今後もさらに拡大するでしょう」。
「真の失業率」算出の方法論
CBSニュースによると、LISEPの指標は、失業者だけでなく、仕事を探しているがフルタイムの雇用が見つからない人々や、貧困賃金の仕事から抜け出せない人々も含んでいる。LISEPによる調査は、景気拡大期に取り残された米国人など、他の経済指標が見逃す労働市場のニュアンスを捉えようとしているのだ。ラディックは、BLSの失業率データには欠陥があると説明する。
「例えば、(政府のデータでは)過去2週間に1時間でも働いたことがあれば、就業者としてカウントされます。つまり、ホームレス生活をしているのに、1時間働いただけでも、またその1時間の賃金がどんなに低くても、カウントされてしまうのです」。
機能的失業者(Functionally unemployed)の内訳
・公式な定義での失業者
・フルタイムの勤務を希望しているが、パートタイムの仕事しか見つけられない人
・ワーキングプア層。フルタイムで働いていても、得られる賃金が貧困ラインを下回っている人。LISEPは、2024年基準額として年収2万5000ドル(約360万円。1ドル=144円換算)未満の賃金を目安としている
LISEPによる調査の根底にあるのは、「『仕事』とはいったい何なのか」という疑問を解決しようとすることにある。同研究では、真の失業率(TRU)と呼ばれるものを追跡している。一言でいえば、この指標は従来の意味における失業者に加え、フルタイムの雇用を求めているものの、それが見つからない人も含めるというものである。
また、LISEPの数値には、貧困賃金の仕事に就いている人も含まれている。「パートタイムでフルタイムの仕事に就けない場合は、機能的失業者としてカウントします」とラディックは言う。同研究においては、安定した仕事がなく、貧困ライン以上の生活ができない人々は、要するに機能的失業者と位置付ける。