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2025.06.08 12:00

「自分は正しい」と思い込むナルシシストが頼る5つの主張戦術

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1. 人格攻撃(アドホミネム)

アドホミネムは実際の議論そのものに向き合うのではなく、議論をしている人を攻撃するときに起こる。ナルシシストは提起された問題を議論することを拒否し、代わりに問題を提起した人の個性や感情、あるいは過去の行動に焦点を当ててその人の信用を落とす。そうして、議論を完全に封じる。

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例えば、人を操るような行動についてあなたがナルシシストに苦言を呈したとする。ナルシシストは人格攻撃の戦術を取り、「あなたはただ不安で苦しい思いをしているためにこんなことで大騒ぎしているのだ」と切り返すかもしれない。

ナルシシストはあなたが現に抱える懸念に対処するのではなく、あなたを攻撃する。その結果、あなたの批判はナルシシストの目には「不合理」なものに映る。

ナルシシストは、自分について抱いているイメージを脅かす事実との関わり合いを何としてでも避けようとするため、人格攻撃に大きく頼る。議論を自分の行動ではなく、自分を責める人に対する批判にすり替えることで会話の流れを変える。ナルシシストは相手が懸念を表したことを気にするように仕向け、これにより状況を支配し続ける。

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2. 誤った二分法

誤った二分法は、ふたつの極端な選択肢を示してどちらかを選ぶよう迫るものだ。この種の推論は、相手と会話全体を完全に膠着状態に追い込む。そして思慮深い議論の芽を摘む。

例えば、ナルシシストの言動を批評すると「私に同意するか、反対するかだ」というような両極端な態度に出るかもしれない。ナルシシストは反対意見は何でもあからさまな敵意だとみる。

だが現実としては、歩み寄りなくして人間関係は機能しない。また、双方の立場を認めなければ話し合いは生産的なものにならない。にもかかわらず、ナルシシストは会話を対立の構図にし、合理的な話し合いを完全に封じてしまう。

ナルシシストは複雑な問題を自分に都合がいいよう単純化するのに長けているため、誤った二分法の戦術を好む。全面的に従うか拒絶するかという両極端な選択を迫ることで、批判的あるいは自立的な思考をさせないように相手に圧力をかける。さらに狡猾なことに、これは相手に罪悪感を植え付けることにもなる。相手はナルシシストの視点に抗うことがまるで背信行為を表すことに等しいかのように感じる。

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翻訳=溝口慈子

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