リーダーシップ

2025.06.11 09:30

「言語化」にこだわるリーダーだけが、部下の真の実力「素晴らしい仕事」を引き出せる

Wavebreakmedia / Getty Images

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484社を対象にした調査で、マネージャーは、「部下のうち素晴らしい仕事をしている者は全体の35.7%だけだ」と考えていることが明らかになった。これは、単なるパフォーマンスの問題ではない。米国企業にとって、最も手付かずの大きなチャンスだ。

「仕事をきちんとこなし、業務を円滑に進めている従業員」が実力を発揮できていない

筆者が創業したLeadership IQ(リーダーシップIQ)は最新の調査で、7225人のマネージャーに対して、ひとつのシンプルな質問を行なった。「現在、あなたの部下の何パーセントが素晴らしい仕事をしていると思うか?」という問いだ。その結果は、すべてのリーダーに警鐘を鳴らし、洞察を与えるものだった。マネージャーの3分の2近く(62%)が、「(持っているはずの)能力を十分に発揮している部下の人数は、半分以下」と考えていたのだ。

ほとんどの経営幹部にとって、この結果は衝撃的であり、また不可解でもある。結局のところ、ここで議論されているのは、問題のある従業員ではない。「仕事をきちんとこなし、業務を円滑に進めている従業員」に対して、マネージャーたちは、部下にはもっと大きな能力があると考えている。

誰でもできるシンプルな行動の選択が違いを生む

一般的に、素晴らしいパフォーマンスには、マイケル・ジョーダンやセリーナ・ウィリアムズのような超人的な才能が必要だと考えられている。こうした考え方は、危険な盲点を生じさせる。素晴らしい仕事は、天賦の才能を持つ少数の者にのみ与えられ、ほかの者は皆、平凡であることを受け入れるしかない、という前提に立っているためだ。

しかし、現実はもっと励みになるものだ。調査対象となったほぼすべての組織において、「良い仕事(Good work)」と「素晴らしい仕事(great work)」の違いは、超自然的な能力ではなく、誰でもできるシンプルな行動選択の違いだということが判明したのだ。

「良い仕事(Good work)」

実例を見てみよう。テクノロジーの導入に苦労していたあるCEOは、新しいERPシステム(経営リソースを統合的に管理し、業務効率化を図るシステム)の導入中、ふたつの異なるグループに気付いた。ひとつは、「良い仕事(Good work)」をする従業員だ。彼らは、「よし、試してみよう」「新しいスキルを習得できてうれしい」など、変化を支持する発言をしていた。

「素晴らしい仕事(great work)」

一方、もうひとつのグループは、「素晴らしい仕事(great work)」をする従業員たちだ。彼らは、微妙に異なる行動をとった。例えば、同僚から否定的な意見を聞いたときは積極的に励まし、会話を前向きな方向へと導き、チームメイトが自分でコントロールできることに集中できるよう支援していたのだ。

その違いには、特別な才能も、追加のトレーニングや時間も必要なかった。ただ、個人的に適応するだけでなく、他者の成功を支援する方向へと一歩踏み出しただけだ。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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