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2025.06.06 08:00

「他力本願」の意味とは?ビジネスシーンでの正しい使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説

「他力本願」の意味とは?

仏教用語が由来

「他力本願(たりきほんがん)」は浄土真宗をはじめとした仏教思想にルーツをもつ言葉です。本来は阿弥陀仏の「他力」──すなわち自力では到達できない悟りに導いてもらう力を指し、「仏の力にすがって救いを得る」という考え方に基づいています。

しかし現代のビジネスシーンでは、しばしば「他人の力に頼りすぎる」「自分の努力をせずに期待する」という意味合いで使われることが多く、本来の宗教的な意義とはずれた解釈が一般化していると言えるでしょう。

本来の意味と転用されたニュアンス

元々は「絶対的な他者の力により、人智を超えた救済を得る」ポジティブな概念でした。現代では「自分で動かず、ほかの誰かに依存する」消極的なイメージを帯びがちです。こうしたギャップを理解した上で、正しく使用する必要があります。


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ビジネスシーンでの誤解とよくある例

「他力本願=依頼心が強いだけ」ではない

日常会話で「彼は他力本願だよね」と言うと、往々にして「自力の努力なしに他者に頼る」という皮肉が含まれます。ビジネスパーソンとしては、単に依存体質と捉えられれば信用を損ねる恐れがあります。本来の言葉の重みを考えれば、安易に「他力本願」と指摘するのは慎重になったほうがよいでしょう。

適切なシーンで使われる例

「クライアントの支援を得てプロジェクトを成功させる」という文脈で「他力本願」を使うと、自社の自助努力なしに丸投げする印象を与えるかもしれません。実際に外部リソースを活用すること自体は悪くありませんが、「他力本願」という言葉選びが「頼り切り」というネガティブな誤解を招きやすい点に注意が必要です。

正しい使い方と注意点

チームワークでの「他力」とは?

社内・社外を問わず他者のリソースをうまく活用し、協力関係を築くことはビジネスで重要です。そこに「他力」を見出すのはむしろ前向きな行為とも言えます。ただし、「自分は何も努力しない」という受け身の姿勢では単なる依存になってしまいます。
本来の仏教的意義を踏まえれば、「私ひとりの力ではなく、大きな存在・力を信じ、ともに成果を得る」という積極的な連帯感が「他力本願」のポジティブな要素です。

「自分の努力×他者のサポート」

ビジネスで「他力本願」の概念をうまく活かすなら、まずは自分自身の行動計画やスキルアップに取り組む努力が前提となります。その上でパートナー企業や専門家の助力を得て相乗効果を狙う構図は、むしろ理にかなった形だと言えるでしょう。
大切なのは、自力だけでも、他力だけでもないハイブリッドな視点を持つことです。

類義語・言い換え表現

「他力に頼る」「甘える」

現代語でストレートに言い換えると「他人の力をあてにする」「甘える」となります。しかし「甘える」には批判的なニュアンスが強く含まれがちなので、文脈によっては不適切な場合もあります。

「協働」「協力」

相手との共同作業や連携を重視するなら「協働」「協力」が自然です。これらの言い換えは「双方が主体的に動く」ニュアンスを伴うため、単なる依存・依頼と異なるアクティブな響きを持ちます。

「扶助」「サポート」

「他力本願」との近さを示す語に「扶助」があります。これはお互いを助け合うというニュアンスが強く、「サポートを受けながら目標に近づく」という前向きな印象を与えられます。ビジネスシーンでは「支援」という言葉も同様に使いやすいでしょう。

例文で理解する

「他力本願」を用いた例文

「この新商品を広めるには、流通パートナーの協力が欠かせません。私たちは決して他力本願ではなく、双方がメリットを得られるよう戦略を組み立てています。」

上記のように「一方的に頼る」とは違うことを明示すれば、ネガティブな誤解を回避できます。

間違った使われ方の例

「自力で勉強せずに、他力本願で試験に受かりたい」と言うと、「努力を放棄したい」という誤用に近い印象です。ビジネスにおいても「あの上司が全部フォローしてくれるから自分は準備しない」というような使い方をすると、消極的・依存的なニュアンスが強まります。


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まとめ

「他力本願」は本来、自らの力だけでなく大いなる存在に導かれて到達するという仏教的な概念です。現代では「他人頼み」「自分の努力不足」といったネガティブな意味で用いられがちですが、正しく理解すれば「相互協力」や「チーム連携」へと生かすことも可能です。

  • 仏教語本来の意味:阿弥陀仏の力を頼みに悟りを開く
  • 現代的な誤解:「他人をあてにして努力をしない」
  • ビジネス活用:自力の行動+他者のサポート=成功への相乗効果

単に「丸投げ」「依存」というイメージを与えないように注意しつつ、“自分一人だけでは難しい局面を他人の力と合わせて乗り越える”というポジティブな側面を強調すれば、ビジネスにも有益な示唆となるでしょう。

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