自撮り写真は、自分の姿や体験、感情をとらえて瞬時に共有できる手段だ。気軽に写したスナップショットから、厳選した1枚、編集して手を加えた写真まで、その種類はさまざまだ。
パスポート写真撮影アプリを提供する「PhotoAiD」が2023年に米国で実施した調査では、「少なくとも週に1度は自撮り写真を撮る」と回答した人は60%に上った。
自撮り写真は、虚栄心の印と思われがちだ。しかし最新研究では、表面だけでは分からない理由が明らかになった。
研究によれば、人が自撮り写真を撮る背景として、次のようなふたつの意外な理由があるという。
1. 死への恐怖に抗うため
2024年に『Psychological Reports』で発表された研究では、自撮り写真を頻繁に撮影して共有する行為は「死への不安」と関連があることが分かった。つまり、心の奥底に存在する、死に対する恐怖心のことだ。
自分の写真を撮影して共有する人は、永続するもののないこの世界で、永続するという感覚を得ようとしているのかもしれない。自撮り写真を撮る行為は、自らが存在するという事実を、目に見える形で記録に残すということであり、死への恐怖に耐えるためのひとつの手段になりえる。
かくして、自撮り写真は不死性の象徴的なかたちとなる。自分のアイデンティティを、肉体よりも長く残るデジタル形式で保存することによって、人々は死への恐怖をコントロールしやすくなる。
研究者はこう説明する。「人々は、自分は不滅の存在だという偽りの感覚を保つことで、死への不安を和らげようとしている。死ぬことなく生き続けたい、という強い意欲が、あれこれ工夫して『何かをあとに残そうとする』行動に表れている。写真は、その目的を達成する方法として知られている」
ナルシシストの方が、死への不安をより強く感じがち
さらに研究では、自己愛的な傾向を持つナルシシストの方が、死への不安をより強く感じがちであることが明らかになった。その結果として、自撮り写真をより多く撮るようになっている可能性があるという。
ナルシシストは得てして、セルフイメージや、自分個人の重要性を重視する。そして、いずれは死を迎えるという現実を前にすると、自分個人の重要性がいっそう脅かされていると感じるのかもしれない。そして自撮り写真によって、死後に残される自らのレガシーをコントロールしようとするのかもしれない。



