2. 自分のアイデンティティを世界に伝えるため
自撮り写真は、自らのアイデンティティを伝える強力な手段となりえる。自分はどんな人間で、どんな自己認識を持ち、他人にどう認識してほしいのかを、個人が表現できる手段なのだ。
2017年に『Frontiers in Psychology』で発表された研究によると、自撮り写真を撮ることに対してより肯定的な人は、自分の強みや実績を前面に押し出して好印象を作り出したい、あるいは、自分の感情を共有して他人と感情的につながりたいと、考えているようだ。
この研究には興味深い点がある。調査参加者(ドイツ、オーストリア、スイス在住の238人)はまた、自分が撮る自撮り写真について、他の人のものと比べると、もっと本物に近いし、自分を皮肉な目で見るところがあるとも考えていた。もしかしたら自撮り写真は彼らにとって、過度な自己陶酔に浸らずに自らを表現したいという思いを満たすひとつの手段なのかもしれない。
この研究ではさらに、人々が自撮り写真を活用して、社会的なつながりを維持したり、情報を交換したりする傾向が示された。ソーシャルメディアで活動的な人の方が、他者との交流と結びついた心理的な幸福度の高さを報告していた。
そうした人にとって自撮り写真は、個人的なアイデンティティと、ソーシャルネットワークをつなぐ架け橋になる。そして、帰属意識を得たり、他者から認めてもらったりする手段になるのだ。
集団的アイデンティティを表現・肯定する役割の可能性も
自撮り写真は、集団的アイデンティティを表現・肯定する上で重要な役割を果たしている可能性もある。2019年に『International Journal of Communication』で発表された研究で示されたように、人々は人種やジェンダー、性的指向など、社会的アイデンティティのさまざまな側面を発信するために自撮り写真を活用している。
研究者は、以下のように説明している。「人種は、集団を示す指標のひとつであり、言語や服装、髪型、音楽、タトゥーなどさまざまな方法で表現できる。研究参加者は、自撮り写真を撮る理由として、自分という人間について何かを伝えるため、他者とつながるため、自分をもっと好きになるため、パワーを得るため、自分と似たタイプの人との一体感を味わうため、と答えている」
「研究に参加したLGBTQの人たちは、活動家のイベントや政治的イベントで、自撮り写真を撮ったり、オンラインでの活動に参加したりする傾向が強かった。この傾向は、自撮り写真と関連付けられがちなナルシシズムとは別のものだ。自撮り写真は、個人的/政治的な声明を発信するために使われることもあるようだ」と研究者は付け加えた。
意義やつながり、自己表現を絶えず探し求めている
ということで、自撮り写真は、必ずしも自己満足の表れというわけではない。むしろ人々が、社会における自らの居場所を探って表現するための方法のひとつであり、彼らが意義やつながり、自己表現を絶えず探し求めていることを映し出している。


