世界には、多種多様な鳥たちがいる。だが、かつてはさらに多くの種が存在した。学術誌『PLOS ONE』に掲載された論文によれば、西暦1500年以降、少なくとも279種の鳥が絶滅した。更新世末(約1万年前)まで時をさかのぼれば、絶滅種の数は約1400種に跳ね上がる、と同研究は指摘する。
とはいえ、絶滅した鳥類の種数を推定するのは容易ではない。鳥類は、専門用語で言えば「low fossilization potential(化石化可能性が低い)」ためだ。つまり、例えばサーベルタイガーやケナガマンモスと比べて鳥の体は小さいために、化石として残りにくいのだ。
確実にわかっていることとして、これから紹介する3種のインコは、現代でいう米国大陸部に分布していた。このうち1種はいまも健在だ。では、彼らの物語をひもといていこう。
カロライナインコ

かつて米国東部・中西部の普通種だったカロライナインコ(学名:Conuropsis carolinensis)は、鮮やかな緑色の体、黄色い頭、オレンジ色の顔面という、インパクトのある見た目をしていた。
北米の温帯に非常に広い分布域をもっていた在来種のインコはこの種だけで、五大湖沿岸からメキシコ湾岸まで分布した。この鳥はしばしば原生林や湿地に棲み、樹洞に巣をつくり、種子や果物を食べた。
残念ながら、20世紀初頭までにカロライナインコは絶滅した。彼らの減少の主要因の一つは、生息地の破壊だ。住処である森林が、農地・都市開発のために皆伐されたのだ。
(余談:米国の森林でも、アジアのジャングルでも、人間活動の圧力により数え切れないほど多くの動物たちが姿を消している。過去数十年の間に絶滅したトラの3つの亜種については、こちらの記事を参照。)
だが、カロライナインコに最も致命的なダメージを与えたのは、人による捕殺だった。農民たちはこの鳥を作物を荒らす害鳥とみなし、大量に駆除した。カロライナインコには、息絶えたつがいの相手のもとに戻って寄り添うという習性があり、そのせいで簡単に捕殺することができた。
また、彼らはペット用の乱獲や、羽を帽子の装飾にするため狩猟の対象にもなった。
カロライナインコの最後の野生個体は、1900年代初頭にフロリダ州で観察された。最後の飼育下個体は、オハイオ州のシンシナティ動物園で飼育されていた「インカス」と名付けられたインコで、1918年に死亡した。奇しくも、世界最後のリョコウバト「マーサ」が1914年に死んだのと同じ鳥舎でのことだった。
その後、散発的に未確認の目撃例があったものの、現在カロライナインコは公式に絶滅種とされている。



