
ふたつめが「地域資源NFT」の販売だ。これまでに、松崎町や智頭町で地域の自然や住民との交流を楽しむNFTツアーを販売してきた。23年12月に販売し即完売した「松崎町へのツアー参加特典付NFT」(1万円)では14人のデジタル村民がツアーに参加し、地域住民との交流を楽しんだ。顔が見える関係性が生まれたことでコミュニティも活性化し、そこから「オフシーズンの田んぼを花畑にして、そこで取れた米をNFT購入者に届ける」という新商品「花畑米NFT」も誕生した。
3つめがNFTとDAOの合わせ技だ。DAOとは、ブロックチェーンを基盤に参加メンバーが自律的にのこと。デジタル村民はこのDAOのなかで地域活性化に向けた施策を企画したり、NFTとして販売するかどうかを投票したりする。「ゆくゆくは、DAOに貢献した人たちにステーブルコインで収益を分配できるようにしたい」と、智頭町企画課で「美しい村DAO」プロジェクトをけん引してきた松村陽平は期待を込める。
NFTのオンライン販売で日本全国から資金を調達し、NFT購入者が地域を訪れることでリアル村民との絆が生まれ、地域に愛着を抱いたデジタル村民をDAOでつなぎ留める。DAOから生まれた施策を通じて新たな人たちを引きつけ、関係人口をさらに増やす。地方創生にWeb3が使えるのではないかといわれるのは、この好循環を期待してのことだ。日本では24年4月の法改正により、法人格をもった合同会社型DAOの設立が可能になった。DAO活用の可能性は広がっている。一方、取材を続けるなかで「NFT×地方創生」の難しさも見えてきた。
ひとつは、ブロックチェーンやNFTを活用しているからこそのハードルの高さだ。美しい村DAOのシステム開発とコミュニティ支援を手がけるガイアックス開発部責任者の峯荒夢は、「現在、デジタル村民証をもっている人は100人ほど。これを1000人、1万人規模にするには、地方創生におけるNFTやDAOの位置付けをよりわかりやすくする必要がある」と指摘する。
ほかの自治体との連携や巻き込みも課題だ。美しい村連合には現在58の自治体が加盟しているが、智頭町と松崎町以外で美しい村DAOに興味を示し、NFTを発行できたのは北海道中札内村と長野県中川村のみ。自治体向けの説明会を開催し、参加を呼びかけた松村は、「どの地域も『ブロックチェーンの仕組みがよくわからない』『議会でうまく説明できない』というところで様子見している印象だ」と話す。「参画する町村が増えれば増えるほどデジタル村民証の価値が上がっていく。そこがブロックチェーンの新しくて面白い部分でもある。ひとつでも多くの町村や自治体に参加してもらいたい」
KEYWORD |Web3
ブロックチェーン技術で仲介者を介さずに個人と個人がつながり、双方向でのデータ利用や分散管理が可能となる「分散型インターネット」の概念を指す。非中央集権化、透明性、自己主権性、自律性などの特徴がある。


