電通が手がける「つながLOOOP」もReFiを意識した取り組みのひとつだ。ゴミ拾いやリサイクル、ボランティア活動への参加といった生活者の社会貢献活動の実績をNFTに記録し、その内容に応じて企業や団体がインセンティブを提供する。参加者は「つながLOOOP」のLINEを介して活動実績証明のNFTを取得したり、活動記録を蓄積したりできる。25年3月末時点ですでに178のNFTが発行されている。本プロジェクトをけん引する電通の岩邊駿は言う。「社会貢献活動が個人のベネフィットに変わる仕組みをつくれば、生活者は継続的に楽しみながら活動に参加してくれる。地球にいいことが、自分にいいことに変わる世界をつくりたい」
このプラットフォームの最大の特徴は、特定の企業や団体の活動に参加したNFT証明書でほかの企業や自治体からもインセンティブを受けられる点だ。企業側はプラットフォーム経由で他社の活動に参加した人に情報発信したりすることができる。NFTを媒介として参加者の社会貢献活動と企業や団体の環境事業をつなぎ、持続可能な社会インフラの構築を目指す。
しかし、プラットフォームの構築なら従来のインターネットでも実現できそうだ。にもかかわらず、なぜNFTなのか。
「NFTを使えばリアルの活動や貢献の量を第三者に証明できるし、複数の企業や団体がインセンティブを提供したりしやすい。私たちが目指すエコサイクルを実現するうえで、ブロックチェーンやNFTはなくてはならないものだと考えている」
CTCと電通。NFTを活用した貢献の可視化を軸に社会課題に挑む両社だが、共通の課題もある。「社会貢献の正確な定量化」だ。CTCの植月は「データをNFT化する技術は整ったが、小規模農家がデータを正確に測るための装置の開発に時間がかかっている」と言う。電通の岩邊も「NFTは、いったんデータを刻んでしまうと修正ができない。消費者の社会貢献活動を素早く正確に定量化するのが課題のひとつだ」と話す。
良い仕組みがあっても、一般ユーザーや運営サイドが手軽に使えなくては社会全体にムーブメントを起こすことは難しい。それは「NFT×地方創生」の文脈においても同じだ。
石破政権は地方創生の柱のひとつに「デジタル・新技術の徹底した活用」を掲げる。全国の市町村の約半数が過疎市町村だといわれるなか、鳥取県にある人口およそ6000人の町が今、NFTを使った地方創生に取り組んでいる。
姫路から特急で揺られること1時間。智頭駅のホームに降りると「ようきんさった!!みどりの風が吹く“疎開”のまち智頭町」と書かれた看板に出迎えられた。鳥取県の南東部に位置する智頭町は、町の約93%を森林が占める小さな町だ。この智頭町と人口5300人の静岡県松崎町が主体となって推進するのが地域住民とデジタル村民をつなぐ地方創生プラットフォーム「美しい村DAO」だ。
智頭町は15年ほど前から、人口がおおむね1万人以下で地域資源が2つ以上ある自治体が集うNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟している。「美しい村である」という共通の価値観をもつ全国の自治体や地域が、それぞれの地域資源を生かしながら連携することは社会的にもインパクトがあるのではないか。町の職員のそんな思いから、合同会社美しい村づくりプロジェクトやシステム開発に強いガイアックスと連携を進め、22年に地域創生を目指すDAOコミュニティを立ち上げた。
美しい村DAOではNFTをどのように活用しているのか。ひとつは「デジタル村民証NFT」の販売だ。NFTの購入者にはデジタル村民の権利が与えられ、DAOに参画している地域の温泉や施設の割引などの特典を受けられるほか、地域資源体験サービスの企画・立案などに参加できる。
KEYWORD |DAO
Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語訳は 「自律分散型組織」。中央集権的な管理構造ではなく、ブロックチェーンを基盤に参加メンバーが自律的に組織や事業を運営・推進していくのが特徴。Web3を実現するための重要な要素のひとつとして注目されている。


