テクノロジー

2025.06.08 15:00

NFTはオワコンなのか 転売ヤー、ノーショーをNFTが解決する日

THE GRAND HOTEL COLLECTIONが一般的な宿泊予約サイトと大きく異なる点は3つ。一般的な宿泊予約サービスに比べて割安であること、宿泊先のホテルが購入後に決まること、予約の変更やキャンセルができない代わりにNFT化された宿泊権を売却したり、プレゼントしたりできる点だ。

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このようなサービスを展開する狙いは、ホテルの事業リスクの低減にある。FRWA事業統括部長の大見亮介は、「閑散期の宿泊料を割安かつキャンセル不可という条件で販売することで、ホテル側はリスクを低減しながら閑散期にも収益基盤をつくることができるうえ、顧客は無駄な取引コストを削減することで手ごろな価格でラグジュアリーホテルの宿泊体験を楽しむことができる」と説明する。

しかし、宿泊権の転売は新たな転売ヤーを生み出すリスクもはらんでいるのではないか。この疑問に対して大見は「転売はウェルカムです」と話す。「我々は、NFTを活用したセカンダリーマーケットをつくることで適正なプライシングと販売コストの削減を目指している。CtoCマーケットの値動きを見ることでサービスの価値を図り、本来どのくらいの価格で売ることができたのかを把握できる。その価格にプライマリーが合わせていけばいいというのが我々の考え方です」
 
FRWAは現在、飲食業界でもNFTを活用したサービスの展開を模索している。高付加価値の食事を堪能できる飲食権をNFT化することで「ノーショー」(無断キャンセル)という問題の解決にもつなげられるのではともくろむ。転売に対する考えや思惑は企業によって異なるが、ブロックチェーン上でCtoCのやりとりをトレースできるというNFTの特性を生かして既存の資本主義の「歪み」を是正する動きは拡大の兆しを見せている。

社会貢献活動の履歴をNFTに刻む

ブロックチェーン技術を用いて環境や社会のを解決する。そのための手段として世界的に注目を集めるのがReFi(再生金融)だ。日本でも、NFTの非改ざん性や唯一無二性という特徴を社会貢献の可視化に生かす取り組みが始まっている。
 
ReFiの象徴的なユースケースがカーボン・クレジットのNFT化だ。カーボン・クレジットとは、温室効果ガス(GHG)の排出削減や除去の取り組みを行った結果を認証するもので、クレジットは市場で売買できる。このクレジットをNFT化することで「カーボンゼロ農業」と農家の新たな収入源の獲得を同時に実現しようと挑むのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と新潟大学が共同で手がける「農CO2プロジェクト」だ 。

本プロジェクトでは、農地におけるGHGの放出量を正確に測定し、データを可視化する。そのうえで、農家が土壌の改善などを通じてCO2の削減にどの程度貢献しているかを把握・分析し、削減実績をNFTに変換する。将来的には、このNFTをカーボン・クレジットとして取引し、収益を農家に還元することを目指す。

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「カーボン・クレジットでは、正確な数字を計測し改ざんできないかたちで提供することと、トレーサビリティが不可欠だ。NFTは、確かさを証明するための手段として適している」(CTC金融NEXT営業本部金融NEXT企画部長の植月修)


KEYWORD 

ReFi(Regenerative Finance)
「再生金融」を意味する用語で、ブロックチェーン技術を使って経済的なインセンティブを実現しながら社会問題や環境問題の解決を目指す新たな金融システムのこと。具体例として、カーボン・クレジットのトークン化などがある。

 


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文=瀬戸久美子 イラストレーション=ジェームズ・ギリアード

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