暗号資産

2025.06.04 18:30

ステーブルコイン米「サークル」のIPOが暗号資産業界で注目される理由とリスク

Photo by Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

サークルの事業モデルに潜むリスク

サークルの主な収益源の99%は、ステーブルコインの準備資産を短期の米国債などに投資することで得られている。このモデルは2024年には非常に高収益であり、約16億ドル(約2304億円)の利息収入を生み出した。

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しかし、この構造は同時に、金利への過度な依存というリスクにもさらされている。コロンビア大学のシニアフェローのトッド・H・ベイカーは英紙フィナンシャル・タイムズで次のように述べている。「サークルはテック企業とはいえない。実質的には、高いレバレッジをかけた、預金保険制度の保護下にない無保険のナローバンク(狭義の銀行)だ。金利が高ければ利益が出るが、それも限度があり、金利が低いと収益が減るか赤字になる」。

収益約2304億円のうち、約1440億円以上を「分配、取引、その他のコスト」に費やす

もうひとつの懸念は、「分配コスト」にある。このコストは、ステーブルコインを利用者に届け、普及させるために必要なもので、サークルは、16億ドル(約2304億円)の収益のうちの10億ドル(約1440億円)以上を「分配、取引、その他のコスト」に費やしていると、同社のS-1登録書類には記されている。同社は、このコストの多くをかつてUSDCを共同で管理していた米国最大の暗号資産取引所コインベースに支払っている。

サークルとコインベースは、2018年にCentre Consortium(センター・コンソーシアム)という団体を立ち上げてUSDCの発行を開始した。2023年に、この団体が解散した後、サークルはUSDCの完全な管理権を取得し、それと引き換えに新たな収益分配契約をコインベースと締結した。

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この契約により、コインベースはUSDCの準備資産から得られる利益の約50%と、同社プラットフォーム上に保有されているUSDC残高から発生する利息の100%を受け取ることとなった。その見返りとして、コインベースはUSDCを支援し、ステーブルコインのエコシステムの長期的成功に貢献するという役割を担っている。

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編集=上田裕資

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