国内

2025.06.13 15:30

アジアの起業家は日本に注目する理由 狙いは「共創プラットフォーム」

インドネシア商工会議所副会頭アルディ・ハリョプラトモ

インドネシア商工会議所副会頭アルディ・ハリョプラトモ

「NEXT 100」をはじめとした日本の起業家、スタートアップ・シーンが盛り上がりを見せるなか、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の若き起業家たちも日本、日本市場に強い関心を示している。


今、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の若き起業家たちが日本市場、企業間協業に熱い視線を注いでいる。

2024年12月に開催された「日ASEANヤングビジネスリーダーズサミット2024」「将来世代ビジネスリーダーズサミット2024」で来日した20代をはじめとしたASEANの若手起業家たちが口にした言葉からも、その注目度の高さがうかがえる。

2回目を迎えた同サミットは、経済産業省、日本貿易振興機構(ジェトロ)、スタートアップのPoliPoliなどが主催。カオ・キムホンASEAN事務総長、新浪剛史・経済同友会代表幹事/サントリーホールディングス代表取締役会長をはじめ、日本とASEANを代表する企業、財閥系の経営者や経営幹部、ユニコーンスタートアップ創業者、若手起業家など80人が集った。特徴は、実質的なビジネスマッチングと戦略的パートナーシップに焦点を合わせているため、ASEANの起業家にとっては日本市場への本格的なアプローチの機会となっている点だ。

「消費地でなく共創プラットフォーム」

「日本、ASEAN両地域とも、ヘルスケア、高齢化社会、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめ、共通した課題に直面している。だからこそ、日本企業との協業可能性は高い」と語るのは、アジア最大のメンタル・スタートアップ「Intellect(インテレクト)」CEOのセオドリック・チューだ。

Intellect CEOのセオドリック・チュー
Intellect CEOのセオドリック・チュー

同サミットにも参加したチューがCEOを務める同社は19年創業。シンガポールに本社を置き、22年10月には日本法人も設立、日本市場に進出した。メンタルマネジメントアプリを提供し、現在20カ国、300万人が利用している。24年9月には、企業向けの新しいメンタルヘルス対策支援サービスを具体化するためにアイシンと共同研究を開始した。

「日本企業には深い専門知識とインフラがあり、ASEAN企業は規模、適応力、若い人口構成を提供できる。ヘルスケア、ウェルネス、デジタルプラットフォームの領域では、クロスボーダーでの協業が価値を生むのではないか。モバイルファーストで構築してきたASEANで成長してきた事業モデルが、日本における新しい医療提供のアプローチを模索するための教訓を提供できる」(チュー)

同社をはじめ、ASEAN起業家たちが日本市場、日本企業との連携に高い関心を示す背景には、技術革新とグローバル展開における強力なシナジー効果がある。日本の大企業がもつ高度な技術力、洗練されたビジネスプロセス、そして安定した市場環境は魅力的な投資先となっている。

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文=フォーブス ジャパン編集部

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