特に、テクノロジー分野、製造業分野、ヘルスケア分野では「日本の技術力が圧倒的な存在感を放っている」として、ASEANの起業家たちは「消費地としてではなく、イノベーションの共創プラットフォーム」として日本をとらえているという。
インドネシアの大手電子決済サービス「GoPay(ゴーペイ)」の前CEOで、現在はインドネシア商工会議所副会頭を務めるアルディ・ハリョプラトモも同様に語る。さらに、「米中対立などをはじめとした世界経済の動きのなかで、ASEAN諸国にとって日本市場は『安全な選択肢』になっている」と指摘する。そして、「(来日して)日本におけるデジタル決済の広まりや可能性を感じることができた。このデジタル決済の広がりは、ASEAN諸国に起こった事象と同様に、デジタル融資、保険、その他フィンテックのイノベーションを促進していく」とも話す。こうしたデジタル化が急速に進むなかで、次のような可能性を指摘する。
「日本が現在直面している社会課題である人口減少、都市部の孤独、介護といった問題は、ASEAN諸国が即座に直面する課題でもある。ASEANの起業家と日本の大企業、研究セクターが協業すれば、高齢者ケアのロボット、医療AI、高齢化関連市場を獲得できるのではないか」
次世代リーダーコミッティ設立
日本とASEANの関係は、単なる経済的な相互依存を超えて、イノベーションを共創するエコシステムへと進化しつつある。実際に「日ASEAN将来世代ビジネスリーダーズサミット」では、ASEANと日本をイノベーションと経済成長のハブとして位置づけるため、官民パートナーシップを強化することの重要性を強調し、次世代リーダーたちのコミッティ委員会「日ASEAN将来世代ビジネスリーダーズコミュニティ」を設立した。ASEANの若き起業家たちがもつ柔軟性、俊敏性、そして日本が誇る技術力と市場の安定性が結合し、融合することで、社会課題解決をはじめ、新たな価値創造の地平が開かれようとしている。


