国内

2025.06.13 13:30

「教員の負担90%減」 19歳と20歳が仕掛ける教育DXが目指す世界

藤田 岳・今井智紀|MoonJapan代表取締役 Co-CEO、取締役 Co-CEO

藤田 岳・今井智紀|MoonJapan代表取締役 Co-CEO、取締役 Co-CEO

「教育から日本を変える」ことを目指す20歳、19歳の起業家がいる。企業名にもつながる「To The Moon」のごとく、壮大な世界を描いている。


「『波に乗る』のではなく、『波を起こす』ためにスタートアップをやっている。教育分野はハードルが高いといわれるが、いちばんインパクトがある」

そう話すのは、「教育を共育で変える」をミッションに掲げるMoonJapanの代表取締役Co-CEOの藤田岳と取締役Co-CEOの今井智紀。同社は2024年2月に創業した教育分野のインパクト・スタートアップ。ふたりはそれぞれ20歳、19歳と大学在学中のいわゆる「学生起業家」だ。

「今、全国に1200万人の小学生・中学生・高校生がいる。主体性や探究心をもつ人がもっと増えれば、日本の社会はいい方向へ変わるはず」という共通した思いをもつふたり。起業を志す高校向けプログラムで思いが交差し、3年間の事業構想期を経て創業。現在はCo-CEO体制にて教育分野で挑戦を始めている。彼らが挑んでいるのが、全国の小学校・中学校・高校における探究学習、アントレプレナーシップ教育のより良い社会実装だ。

同社が提供している「MoonShot」は、小・中学校の「総合的な学習の時間」、高校の「総合的な探究の時間」を円滑に効果的に進める探究学習プラットフォーム。いわゆる「教員の負担を大幅削減するDXプラットフォームである点」が特徴だ。探究時間向けの社会起業体験プログラムは、自己分析後、社会課題調査、ビジネスの構想から事業計画の策定、プレゼンでの発表まで、ソーシャルビジネスの立ち上げに挑戦。

期間中、起業家・実業家が学校を訪れ、生徒たちにアドバイスを行う。こうした授業構築から資料準備、講師の派遣、授業満足度の集計・管理・レポートまでを担っているのが同プラットフォームだ。現在、中四国地方を中心に行政機関、企業と連携しながら、同サービスを展開している。 

「各学校の方針に合わせたカスタマイズが可能で、教員が費やしていた時間を最大90%軽減できる。そしてプラットフォーム上で個々の生徒のデータが管理できるため、そのまま引き継げる点も特徴だ。長い目で探究に取り組むことができる」

さらに同社は学習塾を事業買収し、25年4月から総合型選抜特化の新しいカタチの学び舎「MoonAcademy」を開講した。 

「僕らが目指しているのは『誰も取りこぼさない教育』の実現だ。そのためには、さまざまなセクターの方々と共に学生を育んでいくことが重要になる。その思いを『共育』というミッションに込めている。今後、20歳以下限定のインパクト投資ファンドや早期(長期的な)就活支援プラットフォームの事業化、グローバル進出なども視野に入れている」


ふじた・がく◎MoonJapanの代表取締役Co-CEO。2004年生まれ。早稲田大学国際教養学部在学中。24年2月MoonJapanを創業し、現在に至る。

いまい・ともき◎MoonJapanの取締役Co-CEO。2005年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部在学中。24年2月MoonJapanを創業し、25年1月より現職。

文=加藤智朗 写真=帆足宗洋(AVGVST)

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