マーケティング

2025.06.14 10:15

人間関係や仕事でつまずく人ほど「小さな失敗」を軽く見ている理由

Getty Images

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「人間関係や仕事でつまずく人は、人生につきもののシンプルな決まりごとを見逃している」

Uber、アップル、Amazon、Nike、TikTok、コカ・コーラなど世界を創り変える覇者達からマーケティングを任されるイギリスの起業家、スティーブン・バートレット氏は指摘します。

バートレット氏が直接体得した仕事と人生に効く33の重要原則の一つが「毒にも薬にもならないことはするな」。著書『執行長日記 THE DIARY OF A CEO』(サンマーク出版)から、一部引用・再編集してご紹介します。


タイガーウッズは小さい改善をしつこいほど続けた

タイガー・ウッズは、いかにして史上最高のゴルフ選手となったのか。この問いに対して、ほとんどの人は似たような周知の事実を並べるだろう。彼は神童で、2歳のころからすでに才能の片鱗を見せていた。自分のプレーの映像を時間をかけて分析し、練習に人生を捧げた。父親は息子を「選ばれし者」と呼び、その可能性を信じて疑わなかった。

だが、ウッズをよく知る人なら、称賛に価するのは彼のカイゼンの哲学だと答えるだろう。つまり、小さな改善をしつこいほど続ける姿勢である。

1997年、マスターズ・トーナメントが終わると、ウッズはコーチのブッチ・ハーモンにスイングを一から作り直したい、結果を出せるように再構築したいと告げた。プロに転向してわずか7か月目のことだった。ハーモンは釘を刺した。近道はない。長い道のりになるぞ。効果が現れる前に、トーナメントでの成績はもっと落ちることになるだろう。

友人や仲間のゴルファー、専門家も同じ意見だった。それでも、自分のスイングには改善の余地があるとわかっていたウッズは耳を貸さなかった。そしてスイングのカイゼンを脅威ではなく、着実に進歩するためのチャンスだと捉え、カイゼンの道を歩み出した。

まさにトヨタの完璧を追求する姿勢に感銘を受けたウッズは、カイゼンの哲学を自身の宗教のように語りはじめた。彼はコーチと二人三脚で独自のカイゼン式手順を編み出した。練習用のボールを繰り返し打つ。スイングの映像を確認して改善点を見つける。見つけた改善点はすべて練習場やコースで実践する。以上をひたすら繰り返す。

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文=スティーブン・バートレット(訳:清水由貴子)

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