これは我が社のマーケティングチームが考え、10年以上にわたってそのすばらしさを説き、実践してきた原則でもある。あまりにも我が意を得ているので、オフィスの壁にも書き記した。
「よくも悪くも、感情を引き出す」
無関心――好意も憎しみも持たれていない状態――は、マーケターにとって最も利益の少ない結果だ。
自分の言葉、メッセージ、呼びかけに対する無関心は、前の法則で触れたタチの悪い馴化フィルターへ一直線だ。
ダーマロジカおよび国際ダーマル研究所の著名な創業者にしてCVO(最高事業計画責任者)のジェーン・ワーワンドにインタビューを行った。ワーワンドは、美容業界で最も評価され、尊敬される実力者のひとりだ。彼女のリーダーシップのもとで、ダーマロジカはスキンケアのトップブランドに成長し、世界100か国以上で10万人を超えるスキンセラピストに愛用されている。その結果、ワーワンドは美容業界で一、二を争う富豪となった。
彼女によると、顧客の馴化フィルターを外すために、マーケティングのとっておきの秘訣があるという。それは「怒りを買う」言葉や行動を選ぶこと。少なくともその覚悟を持つこと。ワーワンドは次のように説明した。
80%の人を怒らせる覚悟がないと、残りの20%の人を夢中にさせることはできない。そうでなければ、私たちは中程度、可もなく不可もなく、平均的で、受け入れられはするものの、特徴的ではなくなってしまうから。それは製品ではない。ブランドではない。ブランドは感情的な反応を引き起こす。だから、それが私たちのマーケティングの合言葉になった。「80%を怒らせて20%を夢中にさせる」。全員に好かれる必要はない。既存の価値観を打ち砕くような真似をしなければ、皆に好きになってもらえる。でも、愛されることはない。私たちを嫌う人がいるからこそ、愛する人もいる。
ただし、注意しなければならない。感情操作の戦略には有効期限がある。脳が慣れて、その意味を軽んじるようになるにつれ、顧客の関心は失われていく。
罵倒語を含むタイトルの本も、2018年と現在のランキングを比較してみると、この罵り戦略の効果が薄れつつあるのは明らかだ。感情に訴えかけるメッセージで人々の心をつかんでも、馴化の作用によって、そのメッセージはまたたく間に壁紙と化すのだ。
法則「毒にも薬にもならないことはするな」
感情的、大胆、場合によっては賛否が分かれるマーケティング手法を恐れてはいけない。感情を引き出すことは、たとえ20%の人を夢中にさせ、80%を激怒させても、100%が無関心のアプローチより有効だ。
[あなたを愛する人がいる。あなたを嫌う人もいる。何とも思わない人もいる。大事なのは1番目と2番目。3番目はどうでもいい。無関心は最も利益の少ない結果だ]
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