教育

2025.06.04 09:00

トランプの下で米国は「営利大学大国」に? 職業学校を支援、所得向上効果には疑問符

連邦助成金の一時停止や留学生受け入れ資格の取り消しなど、ハーバード大学への攻撃を強めるトランプ米大統領(Kayla Bartkowski /Getty Images)

過去の米政権は、学校側が学生を誤解させたりだましたりするのを防ぐために、いくつかの防護措置を導入してきた。たとえば、略奪的で詐欺的な慣行で調査や捜査を受けた営利目的の教育チェーン、コリンシアン・カレッジズが2015年に破綻したあと、バラク・オバマ政権は「借り手の返済防衛(Borrower Defense to Repayment)」ルールを施行した。これは、学生が学校側の不正行為の被害に遭った場合、連邦学生ローンの返済が免除される権利を与えるものだ。営利校に対する別の規則として、「十分な収入を得られる就職(gainful employment)」ルールというものもある。そこでは、学校が連邦資金を利用できる資格を得るには、卒業生の債務対収入比率や高卒者に対する収入の上乗せ幅に関する基準を満たすことが求められている。このほか、このセクターには「90/10」ルールも適用されており、営利の高等教育機関は収入の10%以上を連邦学生援助以外から得ることが義務づけられている。

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下院を通過した法案には、借り手の返済防衛の利用制限や、十分な収入を得られる就職ルールと90/10ルールの撤廃が盛り込まれている。営利大学やその支持者たちはこれらの規制について、私立の非営利大学には同じ基準が課されていないとして、不公平で負担が重いと訴えてきた。

BMOキャピタル・マーケッツのシルバーは、トランプが引き起こす経済的不確実性さえ、営利大学にはプラスに働く可能性があるとみている。「景気後退のような状態に陥らないことを願っていますが、もしそうなった場合、少なくともこれらの企業の株価は恩恵を受けるかもしれません。というのも、それらは(景気変動に左右されにくい)ディフェンシブ銘柄と見なされているからです」

forbes.com 原文

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翻訳・編集=江戸伸禎

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