宇宙

2025.06.04 10:30

火星がレグルスや月と出会い「夜光雲」が浮かぶ、美しい球状星団も見られる6月の夜空

米アリゾナ州ツーソン郊外にある米国立科学財団(NSF)キットピーク国立天文台(KPNO)のビジターセンターに設置された最新望遠鏡で2025年1月13日に撮影された火星食(KPNO/NOIRLab/NSF/AURA/J. Winsky & A. Sorensen)

米アリゾナ州ツーソン郊外にある米国立科学財団(NSF)キットピーク国立天文台(KPNO)のビジターセンターに設置された最新望遠鏡で2025年1月13日に撮影された火星食(KPNO/NOIRLab/NSF/AURA/J. Winsky & A. Sorensen)

北半球に暮らす天文ファンにとって、6月はちょっと難しい1カ月だ。21日に夏至を迎えるため、夜が真の暗闇に包まれる時間が短いのだ。それでも星を眺めるにはどうすればいいかといえば、夜更かしをして短い夜を有意義にすごすのがおすすめ。2025年6月の夜空の見どころを紹介しよう。

1. 高度の最も低い「ストロベリームーン」の満月が昇る

6月の満月「ストロベリームーン」。2020年、スペインにて撮影(Shutterstock.com)
6月の満月「ストロベリームーン」。2020年、スペインにて撮影(Shutterstock.com)

日時:2025年6月11日(水)の夕暮れ時
方角:東の地平線

米先住民の農事暦で「ストロベリームーン」と呼ばれる6月の満月は、太陽が西に沈むとすぐに南東の地平線に現れ、夜通し空の低い位置を移動していく。月の出入りが最も南寄り(または北寄り)になり、南中高度が最低(または最高)に達するときを「lunar standstill」(月の静止状態)と呼ぶが、これはその前後で月の出入り方位の変化が止まるように見えるためだ。月の南中高度は約18.6年周期で変動しており、11日のストロベリームーンは、最も低い位置で南中する満月となる。月の明るさが100%に達する「望」の瞬間は、日本時間では月の出前の11日午後4時44分に訪れる。

2. 火星とレグルスが大接近

2025年6月17日(東京:20時ごろ)の西の空(Stellarium)
2025年6月17日(東京:20時ごろ)の西の空(Stellarium)

日時:2025年6月17日(火)の日没後
方角:西の空

日没後の西の空で、赤みがかった星と青白い星がとても近い位置で寄り添って輝く。火星としし座の1等星レグルスだ。レグルスはしし座で最も明るい星で、地球から約78光年の距離にある。レグルスと火星の距離は今宵、1度未満まで近づく。

3. 細い月とすばるが接近

2025年6月23日(東京:午前3時25分ごろ)の東北東の空(Stellarium)
2025年6月23日(東京:午前3時25分ごろ)の東北東の空(Stellarium)

日時:2025年6月23日(月)の未明~明け方
方角:東の空

東北東の低空で、細い下弦の月とおうし座のプレアデス星団(すばる)が接近する。プレアデス星団は、フランスの天文学者メシエがまとめた天体カタログ(メシエカタログ)の記載番号に基づき「M45」の名称をもつ美しい散開星団で、英語では明るい星をギリシャ神話の7人姉妹に見立てて「セブンシスターズ」と呼ばれる。右側には「明けの明星」金星も輝いている。

4. ヘルクレス座球状星団

ヘルクレス座球状星団「M13」。米アリゾナ州のレモン山天文台で2008年4月21日に撮影(Sid Leach/Adam Block/Mount Lemmon SkyCenter, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)
ヘルクレス座球状星団「M13」。米アリゾナ州のレモン山天文台で2008年4月21日に撮影(Sid Leach/Adam Block/Mount Lemmon SkyCenter, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

日時:6月中の夜
方角:東の空の高い位置

6月は、こと座の1等星ベガのすぐ上にあるヘルクレス座に小型望遠鏡を向けるまたとない好機だ。球状星団「M13」は、数十万個もの古い恒星がボール状に密集している天体で、私たちが暮らす天の川銀河を取り巻くハロー(銀河ハロー)と呼ばれる領域を周回している。太陽系からは約2万2000光年離れている。

5. 細い月と水星が接近

日時:2025年6月27日(金)の日没後
方角:西の空

太陽系で最も小さい惑星である水星をもし見たことがなければ、月と共演する優美な光景を眺める絶好のチャンスだ。月齢1.7の繊細な三日月が、西の地平線近くできらめく水星のすぐ上に見える。

6. 夜光雲

エストニア・ソーマー国立公園の沼地で2009年7月26日に撮影された夜光雲(Martin Koitmäe [1], CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)
エストニア・ソーマー国立公園の沼地で2009年7月26日に撮影された夜光雲(Martin Koitmäe [1], CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

日時:2025年6月30日~7月21日ごろ
方角:北の空

日の出前や日没後の薄明の時間帯に、北半球で北の空を見上げると「夜光雲(やこううん)」という通常の雲よりはるかに上空で発生した雲が見えることがある。宇宙から降ってきた微隕石が高層大気(中間圏)に残した塵を核とする氷の粒子でできた雲で、網目状に広がる特徴がある。

7. 月と火星が接近

日時:2025年6月30日(月)の日没後
方角:西の空

日没後の西の空で、月と火星が接近する。北太平洋などでは火星食となる。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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