相手の魅力を認識する直感は、素早い本能的な反応だ。だが医学誌『The Laryngoscope(ザ・ラリンガスコープ)』に最近掲載された研究によると、魅力は即座に抱く印象ではなく、目でリアルタイムに確認できる事実なのだという。
2024年12月に掲載されたこの研究では、最先端の視線追跡技術を活用して、目の前の人の魅力を判断する際に注目しがちな顔の部位を特定した。さらに研究チームは、注目パターンが人によってどのように変化するかを突き止めた。
メイヨークリニックとメイヨークリニック・アリックス医学部の研究者らは、デジタル処理された、あるいは高度に定型化された顔を参加者に見せるのではなく、多様な人種や民族的背景を持つ実在の人物の高解像度の写真を使用した。写真の人物は喜怒哀楽のない中間の表情で、明らかな美容整形はしていない。
参加者がそれぞれの写真を見る間、視線追跡システムで目、鼻、口、髪、顎のライン、額、首など、顔の各部位をどのくらい見ていたかを正確に記録した。各写真の表示時間はわずか10秒だった。
研究では、どの部位が一貫して注意を引くのか、また注意を引く部位が男女でどう異なるのかがわかった。魅力の評価について、明らかになった6つの点を以下に挙げる。
1. 目、鼻、口は総合的に最も重要
研究の参加者は全員、顔の「中央の三角形」と呼ばれる部位、つまり目、鼻、口に最も長く視線を注ぐ傾向にあった。
この部位は社会的知覚において重要だと長い間考えられてきたため、参加者は感情表現やアイデンティティ、意思についての手がかりを得るためにこの部分に視線を注いだと思われる。実際、写真の人物の魅力を評価するように言われていない参加者でさえ、顔の中央の三角形部分に自然と視線を向けていた。
このことは、私たちがこの部位に注目するのは必ずしも意識的な選択ではなく、単に脳が人の顔を処理するときに最初に着手する場所であることを示唆している。
全体として、これは人間は社会的にも生物学的にも自分に関係のある情報を伝える部位に最も注意を向ける傾向があることを示唆している。目にしている人物の美しさや、その人の気持ちを示すようなもの、あるいは信頼性を吟味するかどうかにかかわらず、この部位は第一印象を形成する際の基本となっているようだ。
2. 魅力を判断有無で、見方は違ってくる
参加者に魅力を判断するよう求めたところ、参加者の目の動きははるかに意図的で一貫したパターンを示した。目的もなく自由に写真を見た参加者に比べ、魅力を評価するように求められた参加者は、口と鼻、そして頬に視線を注ぐ時間がかなり長かった。
これらの部位に注目することで、左右対称性や肌の状態、若々しさを評価しているのだろう。専門誌『Evolution and Human Behavior(エボリューション・アンド・ヒューマン・ビヘイビア)』に掲載された研究によると、特に左右対称性はその人が「良い遺伝子」を持っているかどうかの重要な評価材料になることが知られている。
この発見はおそらく、意識的に他人の容姿を評価しているとき、視線は高度に戦略化されていることを示唆している。全体的な印象をとらえるだけでなく、分析している。口、鼻、頬は相手の健康状態や遺伝子レベルで環境にどの程度適応しているかを推し測るための手がかりを与えてくれる。これらの要素は身体的魅力を発するものであることが、多くの進化理論で示唆されている。
注目すべきは、魅力の度合いを判断する参加者たちは、程度の差はあっても他の人たちよりも単に顔を見回していたわけではないということだ。見方が違っていた。魅力の度合いを判断するためにより重要と思われる顔の部位に、注意を向けていた。



