キャリア

2025.06.04 15:00

92%の従業員が「勤務中に転職活動」、生産性にまつわる茶番が企業に蔓延する理由 米国

earthphotostock / Shutterstock.com

「働いているフリ」を減らすために企業ができること

表面上は、働いているフリをする従業員の事情や特徴はすべて同じに思える。しかし、全体像を見ずに従業員の真意を決めつけてしまわないよう、企業側は注意しなければならない。深く掘り下げていけば、従業員がやる気をなくし、潜在能力を発揮できない状態に至った数々の要因が浮かび上がってくる。

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・見た目で判断してはいけない:雇用主側が真っ先にできることは、不純な動機でやる気を失い、最低限の仕事しかしない従業員と、仕事に熱心で最善を尽くすものの燃え尽きてしまう優秀な従業員を区別することだ。会社に尽くしてきたにもかかわらず、失望したり昇進を逃したりした従業員のことを忘れてはならない。重要なのは、威嚇的ではない姿勢で従業員の様子を定期的に確認し、彼らの気持ちや個人の目標について双方向の会話を交わすことだ。そうすれば従業員を気にかけ、感謝していることを示せる。

・従業員の参加を促す:企業側は従業員に対し、彼らを見守り、その声に耳を傾けていることを伝えよう。個々の従業員と定期的につながれば、従業員は「自分は尊重されている、感謝されている」と感じることができる。期待についてオープンかつ率直なやりとりをかわすと、従業員の会社に対する関心や責任を呼び覚ますことができる。

・従業員を称え、認める:ほどんどの調査では、従業員が何よりも望んでいるのは「会社から尊重されること、感謝されること」という結果が出ている。従業員に感謝を伝える取り組みを始めれば、従業員は熱心に働けば称えられ、認められるのだと感じられる。

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・昇進に向けた成長機会の提供が、忠誠心アップへの道:従業員は、会社側が自分たちの成長を重視しているか、可能性をフルに発揮している姿を目にしたいと望んでいるかを知りたがっている。また、研修やメンタリング、コーチングへの支援に熱心であるかも知りたがっている。

最後に

レジュメ・ナウの調査では、従業員に対して「従業員への監視は生産性向上につながるか」という質問も行われた。その結果、「会社が従業員のスクリーンタイムを監視した方が生産性が増す」と答えた人は69%だった。

一方、「監視されても自分の労働習慣は変わらない」と答えた人は19%、「ほかの方法で休憩を取る」と答えた人は10%、「すでに仕事に集中しているので関係ない」と答えた人は3%だった。

しかし、もっと広い視点から重視すべきは、雇用主と従業員との信頼関係を築くことだ。そうしなければ悪循環が生まれてしまう。つまり、雇用主が従業員をこと細かく管理すれば、従業員は必然的に働いているフリをするようになる。そして、管理職側が従業員の働いているフリに気づけば、従業員をさらに監視するようになる。いずれの場合も生産性の低下を招き、悪循環にいっそう拍車がかかるだろう。

こうした悪循環を断ち切るためには、雇用主と従業員の双方が、単なる「見た目」ではない実際の「生産性」に重きを置き、より健全で生産的で、エンゲージメントの高い労働力を育てる必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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